ディアブロは自らが行なったファルムス王国での工作をリムルに報告する。捕虜として捕らえていたエドマリス(CV:家中宏)、レイヒム(CV:藤井隼)、ラーゼン(CV:小林千晃)の3人に忠誠を誓わせたディアブロは、さらにヨウム(CV:細谷佳正)たちを引き連れて王国へと出向く。ラーゼンたちの口から王国貴族たちに語られたのは、両軍の戦闘中に目覚めたヴェルドラによって王国軍が壊滅し、その窮地を救ってくれたのがリムルだったという筋書きだった。さらにテンペストとの交渉人であるヨウムは、ファルムス王国が宣戦布告もなく、一方的にテンペストに戦争を仕掛けたことを引き合いに出し、王国の責任を追求していく。
貴族たちに語られた筋書きは、もちろんすべてがデタラメだ。王国軍は実際にはヴェルドラによってではなく、リムルが魔王に進化するための犠牲となっている。ではこの方便はディアブロが考えた策略かと言えばそうではなく、第38話(第2期14話目)「人魔会談」でガゼル・ドワルゴ(CV:土師孝也)が発案したもの。ディアブロはそのときに決定された基本戦略に添いつつ、あえてラーゼンたちの口から語らせることでより説得力を増して伝えている。このシーンで面白いのは、貴族たちがリムルに対してネガティブな反応を見せるたびにディアブロがドス黒いオーラを放ち、それを感じ取ったラーゼンたちが汗ダクになって必死にリムルを讃えようとする様子だ。とくにふだんは落ち着いた雰囲気のミュウラン(CV.種崎敦美)までもがアタフタしており、レアなコメディ顔となっている。これにはSNSでも「後ろからのディアブロの圧よwwwwww」、「怯えてるミュウランめっちゃかわいい!」、「ディアブロは激おこのようですw」など盛り上がっていた。
当初こそ反発や混乱が生まれたものの、最終的にはテンペストに敗北したことを受け入れる貴族たち。これを受けたディアブロは、生きた肉塊のままにされていたエドマリス王を復活させ、「王の退位&賠償金」、「属国化」、「戦争継続」という3つの選択肢を与えるのだった。ここまでの報告を聞いたリムルは、日本円にして約1兆円という莫大な賠償金額に驚くも、ディアブロは自信満々。消去法で考えれば王国は「王の退位&賠償金」を選ばざるを得ないことを説明し、さらにはその後の展開までも予定通り進むだろうと太鼓判を押すのだった。
終盤に交わされたリムルとディアブロの会話は少々難解だが、この策謀渦巻く雰囲気もまた「転スラ」の魅力のひとつ。第39話(第2期15話目)「ラミリスの報せ」でリムルが明らかにした真の狙いは、エドマリス王を退位させ、賠償金の支払い交渉をきっかけに内乱を引き起こすというもの。さらにはその内乱の隙に乗じてヨウムが新たな王に即位するという展開で、これは言わば「革命」。テンペストと王国が友好関係を結ぶためには、現状の体制を保ったままでは難しく、魔物を敵対視する貴族たちをごっそりと排除する必要があるのだ。ただ、そのうえでディアブロが狡猾なのは、リムルの狙いを完璧に達成しつつも、さらにある程度の賠償金が獲得できる要求をしたことだろう。つねに言われたこと以上の結果を残すディアブロの優秀さが際立った一方、リムルへの心酔っぷりやドヤ顔のウザさなど、変人っぷりもまざまざと見せ付けてくれた。またこのシーンでは、難しい話に目が泳ぎまくるシオンや、プリンを与えられて喜ぶヴェルドラの無邪気な笑顔など、難解な会話を和らげるお茶目なシーンも随所に散りばめられているなど、演出も光っていた。SNSでは「シオン絶対わかってないwww」、「すねるヴェルドラかわよwww」、「笑顔のディアブロ可愛い」など、それぞれの推しキャラへのコメントが並んでいた。個性豊かなキャラクターたちによる会話劇とディアブロの策謀が炸裂した第49話。さて次回第50話「聖人の思惑」は4月12日(金)放送予定。期待して待とう!
※種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」
■文/岡本大介
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