「AKB48グループ卒業後、最も俳優として飛躍したと思う人は?」というアンケートがあったとしたら、かなりの票数を集めそうなのが川栄李奈だろう。グループ在籍時代は、かわいらしい一面と“おバカキャラ”で人気を博した川栄だが、俳優へ転身した現在は連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(2021-2022年、NHK総合ほか)をはじめ、多くのドラマ・映画・舞台でメインキャストを務め、先日最終回を迎えた2024年1月期ドラマ「となりのナースエイド」(日本テレビ系)でも好演を見せた。そんな彼女が日本版声優を務めた、ディズニー&ピクサー長編アニメーション映画「ソウルフル・ワールド」が、4月12日(金)より劇場公開される。今回は同作で見せた声優としての演技について触れながら、役者・川栄の魅力に迫る。
「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年)や「インサイド・ヘッド」(2015年)などを手掛けたピート・ドクターが監督を務め、「第93回アカデミー賞」長編アニメーション賞と作曲賞を受賞した「ソウルフル・ワールド」。物語は人間が誕生する前に「どんな自分になるか」を決める魂(ソウル)の世界を舞台に、そこへ落下したジャズ・ピアニストを夢見るジョーとソウルの世界に留まる“22番”の出会いと2人の成長模様を描いている。
本作は2020年に劇場で公開される予定だったがコロナ禍で劇場公開は中止になり、同年ディズニープラスで配信。今回は「インサイド・ヘッド2」の8月1日(木)からの劇場公開を記念し改めてスクリーンで上映されることになった。
US本社のオーディションを経て見事に日本版声優の座を射止めた川栄は、ソウルの世界に何百年も居続けている“こじらせ魂”22番の声を担当。やりたいことが見つからない、自分にも自信がない、そんなネガティブ思考の22番が、夢に向かって前向きなジョーと出会い、少しずつ自分の世界を広げていこうと奮闘する姿を好演した。
ジョーの声を担当した浜野謙太とは、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(2016年、NHK総合ほか)で夫婦役を務めたこともあり、元夫婦コンビの息の合ったセリフの掛け合いも見どころの一つだ。
私生活では結婚し、 2児の母親としての顔を持つ川栄だが、ほんの数年前までは学園ドラマの生徒役として登場していた印象も強い。
ドラマ「ごめんね青春!」(2014年、TBS系)では、カトリック系の女子校に通う神保愛に扮(ふん)し、突然共学になったクラスにやってきた男子生徒を相手に、持ち前のハスキーボイスで罵倒する強烈な女子高校生を演じた。同作で主人公の教師・原平助を演じた錦戸亮も、舞台あいさつ時に「ブチ切れる川栄さんの切れ味がすごい」と彼女の迫力ある声と“ブチ切れ演技”を絶賛していた。
また、卒業を目前にした生徒たちをクラス内に監禁した高校教師の姿を描いたドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(2019年、日本テレビ系)では、クラスの中心的な生徒の一人だが、表と裏の顔を持つ宇佐美香帆を演じた。
劇中では、自殺してしまったクラスメート・景山澪奈(上白石萌歌)への嫌がらせや誹謗中傷などを行っていた陰湿な生徒を見事に演じきり、自分の犯した罪と向き合い涙を流すシーンは多くの視聴者をくぎ付けにした。
そして2022年には連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、悲願の“朝ドラヒロイン”に抜てき。同作は朝ドラ史上初めてとなる、3人の女優がそれぞれ別のヒロインを演じるリレー形式になっており、同じく主演を務めた深津絵里、上白石萌音と共に昭和・平成・令和の時代を、ラジオ英語講座と共に歩んだ親子3代の物語を紡いだ。
川栄が演じた三代目ヒロイン・ひなたは、天真らんまんな明るさを放ち、実に“朝ドラヒロイン”らしい自然体な姿を体現。仕事や恋に奮闘しながら生きていく等身大の姿に、共感の声が多く上がった。
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