――過去のインタビューで、シリーズ当初はストイックに取り組むあまり会話もなかったというお話もありましたが、15年前と今とでお互いの印象に変化はありますか?
小野:そうですね(笑)。よくいえば、ストイック。
坂本:よくいえば(笑)。別に仲が悪かったわけじゃないですよね。
小野:そうそう。お互いガッチガチだったんですよ。とにかく若かったゆえに視野が狭くなっていて。他の演者もみんな僕らと同じくらいか年下で、若い人が多い現場だったんです。だから、いい意味でギラギラしていて(笑)。何か爪跡を残そうとか、この役を突き詰めてやろうとかっていう、情熱に溢れていた現場でした。
坂本:それでも、小野さんはずっと変わらないですね。すごく忙しくて体調を崩されることがあっても、こんな感じでいつも誰に対してもニコニコしていて。私だけですよ、多分人と話さなかったのは(笑)。
小野:待て待て待て待て(笑)。ただ、当初は「坂本真綾」という人を、周りが勝手に神格化していた節はありますね。声優になる前からみてきた存在だったので、僕だけではなく、同じ年代の役者たちがみんな「坂本真綾」という人をリスペクトしていて憧れがあったんです。それもあって、みんなちょっとドキドキしていて、どう接したらよいのかわからなかったんですよね。
坂本:そんなことないんだけどなあ。でも、私自身もデビューが早かったことで、先輩後輩の関係とか、みんなとどう接していいのかわからなかったですね。あとは、男の人ばっかりの現場だったから、男性陣でキャッキャしているなかにひとり入っちゃったっていう感じはあったかな。
小野:そっか、なるほどなあ。僕は周りが同性で、同年代だから確かにしゃべりやすかったのかも。初めて言うような気もするけど、真綾ちゃんに対しては「何が好きかな」とか「何の話をしたら盛り上がるかな」とかをすごく考えていましたね(笑)。まず、「隣座っていいのかな?」から始まって……。
坂本:そう! ずっと両隣が空席だったんですよ。私の隣に誰も座らなくて(笑)。みんなが気を遣っている空気を感じつつ、自分に自信がなくて、人とフレンドリーにしている暇がなかったのもあります。あ、でもずっとこの人(小野さん)はいい人です(笑)。
小野:僕も変わらないし、真綾ちゃんも多分変わってないと思うんですよ。話してみるとすごくフランクだし、あとはとにかくストイックだなって。もちろん周りにはそれを強要しないし。どこまでも自分にだけ厳しいところは、当時からずっと演者としてもリスペクトしている部分でとても素敵だなと思っていますね。
坂本:約15年前から、それぞれ役に向き合い悩む日々なども一緒に通りながら、同じ作品で同じ時を過ごしてきて、いつの間にかバディとしてお互いに信頼する部分が育まれていった気がします。それは、もしかしたらシエルとセバスチャンもそうなんじゃないかなと考えていて。最初はビジネスパートナーとして緊張感のある関係だったけれども、特に今回「寄宿学校編」では、お互い頼りにしている場面や気を許しているような雰囲気も感じられて、ビジネスパートナーとしてだけではなく信頼関係もある二人になっています。そんな風に、演じる側とキャラクターとでシンクロしているところもあったりするのかなと思いますね。
小野:いいこと言うよね! 確かにその通りだ!
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)