ピクサーが大人の魂(ソウル)を揺さぶる…“アカデミー賞2冠”の生きる意味を問う哲学的泣ける名作<ソウルフル・ワールド>

2024/04/12 11:10 配信

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アカデミー賞では作曲賞も受賞、ジャズと物語が見事に融合


ジョーは、地上で児童心理博士だった人物と間違われてメンターとして、22番(CV:川栄李奈)と呼ばれるソウルと組まされることになる。ソウルが地上に生まれるためには、一人一人の“きらめき”が必要で、それをメンターが見つけてやるのだ。だが、22番は「人間に生まれたくない」と、先に挙げた偉人たちも地上に送り出すことに失敗している、いわばこじらせ系の困ったちゃんだった。

ジョーにとって“きらめき”は音楽=ジャズ。亡き父がきっかけで出合ったジャズが夢になったのは、ジャズが「音楽を通して自分を表現するから」だ。とはいえ、その夢に向かって決してうまくいっているとはいえなかったジョーの人生。それでも1つのチャンスのため必死で戻ろうとするジョーに興味を持った22番は、協力して共に地上に降り立ち、2人の“冒険”が始まる。

本作は、アカデミー賞で作曲賞も受賞。即興性があり、魂がこもったソウルフルな感情をのせたジャズと人生が交錯していく。ジョーは「音楽と生活は一緒くたにできない」と発言するが、22番は人々との交流を「ジャズった」と表現する。生きるって何なのか。言葉にしてしまうとかたくなりがちだし、人生哲学っぽくもあるけれど、本作ではジャズのリズムと困ったちゃんな22番と、人生に迷いそうになっていたジョーの姿を通して、軽やかに、でも深みももたせて見せていく。


ピート・ドクター監督の“ソウル”を新たな監督が継いでピクサー最新作へ


ソウルフル・ワールド」は、ピート・ドクター監督が自身の子どもが誕生した際に「個性はどうやって備わっているんだろう?」と感じたことから生まれた作品だという。

そこから人生を捉えた物語を配信で見た視聴者からは「今まで観た映画で一番泣いた」「刺さりすぎて号泣」「人生のバイブルになったかも」「きらめきを大切にしたいと思える作品」「きらめきの意味にグッとくる」「大人にこそ響く」といった声が上がっている。

ピート・ドクターの“ソウル”が込められた、人生、生きることという壮大なテーマで深い余韻と共感を生む物語に、スクリーンでぜひ浸ってほしい。

その劇場上映前にはピート・ドクターのメッセージが収められたピクサー最新作「インサイド・ヘッド2」特別映像が映し出されるのでお見逃しなく。

「インサイド・ヘッド」の主人公の少女ライリーは、ピート・ドクターが実娘にインスピレーションされたキャラクターであると明かされている。子どもの脳内で何が起きているのかということから、感情の世界を描いた。

「インサイド・ヘッド2」は、ピート・ドクターから引き継いでケルシー・マンが監督を務めるが、ピート・ドクターが監督した「モンスターズ・インク」(2001年)の続編「モンスターズ・ユニバーシティ」(2013年)でストーリースーパーバイザーをするなどしてスキルを磨いてきた人物だ。今ではピクサーのCCOとなったピート・ドクターの“ソウル”を受け継いで、少し大人になったライリーの頭の中に新たにシンパイなどの感情が登場する物語できっと楽しませてくれるはずだ。

ソウルフル・ワールド」は、4月12日(金)より全国劇場公開。また、ディズニープラスでも配信中。

◆文=ザテレビジョンシネマ部