<虎に翼>誠実だけど重くない 伊藤沙莉“寅子”に視聴者も「推せる!」 土居志央梨“よね”との妄想シーンも中和剤に

2024/04/18 10:35 配信

ドラマ レビュー

“はて?顔”の寅子(伊藤沙莉)「虎に翼」第14回より(C)NHK

その一方で、よねが働くカフェーのマスターが彼女の身の上話を口にしようとすると「やめておきます。よねさんの話を、よねさんがいないところで、よねさんじゃない人から聞くのは違うと思います」と制した。主人公がほかのキャラクターの身の上を人づてに聞く演出はドラマではよくあること。まして1回15分の連続テレビ小説であれば尚更だが、寅子は、そんなドラマ進行上の妥協にも異を唱えていく。

また、第14回では、よねが無知なまま戦おうとしない女性たちを「愚かだ」と否定するのを聞き、すかさず「それは絶対に違う!」「法という盾を、武器を持ちつつある私たちだからこそ、今日は最後まで寄り添って考え抜きたいの」と真正面から訴えた。

伊藤沙莉のコミカルな魅力が中和剤に


おかしいことはおかしい、違うと思えば違うと口にする、真っすぐな寅子。だがそれがくどくもないし重くもならない。そこに、演じる伊藤ならではのコミカルな魅力が生きてくる。

第14回では、よねの想像を絶する重い過去を知り、なんとか彼女の気持ちを明るくできないか、慰められないかとあれこれ考えをめぐらし言葉を探す寅子の姿があった。かける言葉を何パターンか考えては寅子が自ら「ダメ」「違う」「これじゃケンカになるだけ」とダメ出ししていく妄想シーンは、よね役・土居のキレのある返答も相まって軽快でコミカルな仕上がり。よねの身の上という重いエピソードの後の中和剤としての役割も果たした。

法律や、女性の立場といったやや堅いテーマを扱い、女性が理不尽な扱いを受けた当時の生々しいエピソードを挟みながらもドラマ全体のトーンは明るくからっと、そんな絶妙なバランスの上に成り立つ「虎に翼」。その中心にいる伊藤に、視聴者からも「沙莉ちゃん、寅子にぴったり!」「寅子の明るいキャラクターに救われる。沙莉ちゃんのあのお顔と声、大好き!」「沙莉ちゃんが演じる寅子、寄り添ってくれる感じがすごくする。推せる!」の声が多く上がっている。

法廷劇で取り上げた事例の真実を知ってショックの寅子たち。4月19日(金)放送の第15回では、事実を知った寅子たちが出す結論、そして花江(森田望智)の思いも明らかになる。

文=ザテレビジョンドラマ部