コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、友達の話を理解するのに苦労する男子高校生を描いた『聞き取りが苦手すぎる男子の日常』をピックアップ。作者である漫画家の雨桜あまおうさんが、2024月4月5日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、16万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では雨桜あまおうさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
聞き取り困難症(LiD)もしくは聴覚情報処理障害(APD)というものに片足を突っ込んでいる橘結友は時々、友だちの話が理解不能になる時がある。喋り声は聞こえているものの、言語として把握しきれていないような感覚になるのだ。
「おい!結友!スルーしてないでお前もなんかいってやれよ」と友達に言われても何の話かわからない時に、結友が使う必殺技は“愛想笑い&テキトー相槌”。しかし、「は?笑うところじゃなくね!?」と今回この必殺技は失敗に終わり、素直に謝る結友。友達は、「いつも話聞いてねえよな」「耳悪いんじゃね〜?」と結友に詰め寄る。
そんな結友に「佐々木がさー先輩に告ってフラれたって話してたんだよ。みんなに慰めてほしいんだとー」と何の話をしていたのか、教えてくれたのが白川銀司。結友にとって銀次の声はとても聞きやすく、声量・声質・話すスピードが“優勝”していた。
そんな銀次との帰り道。「結友ってさ、ガチで難聴なん?」「いつも話を聞いていないってより『聞こえてない』って感じするんだけど…」と聞かれてしまった結友は、正直に自分の症状について打ち明けることにするのだった――。
本作に読んだ人たちからは、「めちゃくちゃわかる」「治せるものなら治したい」「音としてしか認識してできなくなる時ある」「皆の関係性が素敵」「あれ?私のこと?」「こういう方もいるんですね…」など多くの反響の声が寄せられている。
――『聞き取りが苦手すぎる男子の日常』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私自身、聞き取り力が少々弱めなのですが、出先のお店で流れた声優さんのナレーションが、非常にクリアに聞き取れまして。その出来事をきっかけにキャラクターとストーリーが思い浮かんだので、漫画の形にしてみました。
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
こだわった点は、何をおいても写植です。主人公の「微妙に聞き取れない」という感覚を、読者もフォントの読みにくさによって追体験できるように調整しました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
4話目の最後のコマ、「なんやかんや生きていく」という、ゆるいセリフです。「一生懸命頑張って生きていく」ではない、主人公の適当なゆるさのスタンスが、読者に伝わればいいなと思って言葉を選びました。何か困難があったとしても、ゼロか百か、の極限の態度で向き合わなくてもいいんだよ、というような想いを込めました。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
日常のちょっとした出来事から、大きなイベントの思い出まで、自分の経験の色々なところからネタを拾ってきています。たまたま見た動画や、好きな音楽、空想も、すべてが物語のきっかけになっているかと。
――雨桜さんの作品は絵と文章のバランスが絶妙で、情景を思い浮かべやすい印象を受けました。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
とにかく内容を削ることです。「10」描きたいことがあったとしたら、「2」くらいにまでそぎ落とします。背景作画も、シーンも、セリフも、どんどん削っていき、残った「芯」のような部分だけで漫画を構成すると、読みやすい作品に仕上がる気がします。
――今後の展望や目標をお教えください。
描いていきたいネタや物語がたくさんありますので、引き続き、こつこつとアップしていけたらと思っております。「聞き取りが苦手すぎる男子の日常」もまだ描きたいネタがありますので、時間を見つけて作画を進めていけたらいいなぁと。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
X(旧ツイッター)をメインに、これからも色々と投稿していきますので、また当方の漫画をお読みいただけましたら幸いです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)