<響け!ユーフォニアム3>麗奈の鬼指導で1年生が集団退部? ピンチに立ち向かう久美子の言動に「部長の鏡すぎる」と反響

2024/04/25 09:00 配信

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アニメ「響け!ユーフォニアム3」第三回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

部長として大きく成長した久美子の名シーン


久美子、加藤葉月(CV:朝井彩加)、剣崎梨々花(CV:杉浦しおり)は、様子を伺うために沙里の家を訊ねる。するとそこには、同じく部活を休んでいた1年生3人も一緒にいた。ことの真相は、風邪をひいて体調の悪い沙里を心配したすずめが、他のふたりを連れて家まで送り届けたというものだった。集団退部ではないことが分かり一安心する葉月たちだったが、久美子は最近の沙里の様子を心配し、ふたりきりで沙里の悩みを聞く。沙里は、厳しく指導する麗奈のことを正しいはと理解しつつも、それについていけない初心者たちのことを心配していた。彼女たちが部活を辞めないよう励まし続けてきたが、それが正しいことなのか自信が持てなくなってきたのだと言う。それを受けた久美子は沙里に感謝の言葉を告げ、正解はないが話すことが大事と、これからも悩みはすべて話してほしいと頼むのだった。

このシーンでは久美子の長い語りに注目。この時の久美子は、沙里に向けて話してはいるものの、そのじつ自分自身に語りかけているようでもある。それまで自分でもモヤモヤしていた「部活動」に対する自分の考えをまとめながら、たどたどしくも丁寧に言葉を紡いでいき、言葉を積み上げるにつれてだんだんと力強くなっていくのが印象的だ。とくに、みんなの気持ちをまとめるために存在するのが「部長」だという結論に至った久美子が、胸に手を当てて「全部、私のところに持ってきて」と言い放つ画面は、まさしく部長にふさわしい雰囲気を纏っている。これまで振り回されるように「部長」という役割をこなしてきた久美子が、自分の役割を見つけはじめ、本当の意味で「部長」の姿が垣間見えた瞬間でもある。これにはSNSでも「久美子、成長したなあ」、「部長の鏡すぎる」と大絶賛だった。また、そんな久美子の言葉を受けた沙里が目を潤ませ、画面がパステルカラーに染まっていくカットはまさに彼女の心を表していて、こちらも何とも美しいシーンに仕上がっている。

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第三回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024


翌朝、久美子と麗奈が音楽室へ入ると、そこには昨日までとは打って変わって晴れやかな表情の沙里の姿があった。沙里は久美子の側へと駆け寄ると、「今日もよろしくお願いします!」と満面の笑みを浮かべるのだった。その後すずめから御礼メッセージが届くが、今回の騒動はすべてすずめが仕組んだものだったことが分かる。すずめは沙里の悩みを久美子に聞いてもらうため、ワザとみんなを連れて部活を休んだのだ。すっかりしてやられた久美子は複雑な表情を浮かべ、「人は見かけによらない」と呟くのだった。

これまで思い込みで突っ走るお騒がせ娘だとばかり思っていたすずめだが、最後にまさかの策士だったことが分かり、これが見事なオチとなった。さて今回は、「部活の厳しさ問題」をテーマに、久美子が部長としての役割を見つけはじめるお話。この問題は現実の部活動でもふつうに起きている問題だけに、胸がギュッと締め付けられた視聴者も多かっただろう。また久美子と麗奈のあいだで卒業後の進路について話すシーンや、顧問の滝昇(CV:櫻井孝宏)と「大人」について話すシーンもあり、全体としてリアルでビターな空気感が漂っていた。そんな子供と大人の「狭間」が描かれるのも、久美子たちが3年生に進級したからこそで、第3シーズンの大きな醍醐味だ。次回の第四回は4月28日(日)放送予定。期待して待とう!

■文/岡本大介

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第三回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024