実写ドラマ『からかい上手の高木さん』の再現度に称賛の声続出、今泉力哉監督「意識したのは派手なことを削いで、生っぽく」

2024/05/14 06:00 配信

ドラマ インタビュー

月島琉衣&黒川想矢は「真逆でもあり、ある種似ている部分もある」


――原作ファンも多い本作を実写化する上で意識したことを教えてください。

正直、最初は引き受けるか迷いました。これまで私は中学生や高校生など学生の恋愛作品をあまり手掛けてこなかったので。でも原作を読んでみたら、派手な出来事があるというよりも繊細な日々のやり取りを積み重ねている印象があって。自分がこれまで作ってきた作品や興味があること、こだわっていることと、作品の温度感が近いなと感じて。これなら自分がやる意味があるんじゃないか、何か面白いものにできるんじゃないかと思い、引き受けることにしました。

原作もアニメも素晴らしい作品ですから、それを実写化することの意味やどう描くのかはすごく考えましたが、小豆島で撮影できたこともあり、実写だからこそ生まれた初々しい照れやキュンキュンが新たに表現できたと思います。

自分が加わる1~2年くらい前から、プロデューサーと脚本家は打ち合わせを進めていて、台本も1回上がっていました。自分は途中から加わる形になったのですが、脚本直しの過程で特に意識したのは、派手なことを削いで、原作に近づけるように生っぽくしていったことです。

同世代の視聴者であれば隣のクラスで起きている出来事のような、少し上の世代であれば、まるで自分の青春時代を思い出したりするような、等身大の空気感にしたかったのです。

――高木さんを演じる月島さん、そして西片を演じる黒川さんの印象はいかがですか。

お二人は真逆でもあり、ある種似ている部分もある、そんな印象です。月島さんはすごく明るくて元気。クランクアップ後に「撮影の日々はどうだった?」というお話をする機会があったのですが、「毎日、夜、お母さんに電話をして『今日も120%できた!』と伝えてました」と聞いて、その真っすぐさがすごいなと。

黒川くんは、どちらかというと「西片になれた瞬間はあったかな…」と悩んでいるくらいだったので、二人はある種、真逆のタイプ。でも、黒川くんも基本的には素直で明るいんです。二人とも純粋でかわいらしくて。そこは似ている気がします。

黒川くんって変な動きが多いんですよ(笑)。第5話で机の中をのぞくシーンがあるのですが、普通にのぞき込むのではなく、体をくの字に曲げてのぞいていて…これ演出じゃないんですよ。二人の自由なアイデアで生まれたシーンもたくさんありましたね。

――中学生キャストだったからこそ起きたことはありますか?

撮影期間中に黒川くんの身長が伸びていきました(笑)。黒川くんが少しずつ月島さんの身長に追いついていったので、ドラマを何度も繰り返して見ていただくと、二人の身長差によって撮影の時系列が分かるかもしれません(笑)。

あとは「声」ですね。この時にしか出せない声だったりするので「撮影後にアフレコするときに声変わりしていたらどうしよう」と、みんなで冗談を言ったりしながら撮影していました。