「怪獣8号」は大小のアニオリでキャラドラマを昇華させたアニメ化「頬染めてるキコルかわええ」「毎週楽しみ!」

2024/05/13 20:01 配信

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アニメ『怪獣8号』第5話が放送(C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社

アニメ「怪獣8号」(毎週土曜夜11:00-11:30ほか、テレ東系列ほかにて放送/X(Twitter)にて全世界リアルタイム配信/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)の第5話「入隊!」が5月11日に放送された。派手なバトルシーンが注目を浴びた前話から一転、今話はキャラクタードラマ重視の展開に。特に日比野カフカ(CV.福西勝也)に対する四ノ宮キコル(CV.ファイルーズあい)、亜白ミナ(CV.瀬戸麻沙美)、保科宗四郎(CV.河西健吾)の三者三様の胸の内。カフカと隊員たちとの交流が視聴者の目を引くポイントとなった。(以下、ネタバレを含みます)

キャラクターへの踏み込みが深くなったアニメ化


本作は怪獣討伐ということで、アニメでは映像映えするアクション、怪獣の表現に注目が集まっている。スタジオカラー参加の怪獣クオリティーは文句なくすばらしく、特に第2話、第4話で見せた怪獣8号のアクションシーンはインパクトが抜群だった。そんな派手なアクションに隠れがちではあるが、本作はキャラクターの感情、内面的な部分に非常に力を入れて作られている。これは原作と照らし合わせるとよく分かるのだが、アニメオリジナルの台詞やカットがあちこちに追加されている。

第1話では怪獣討伐から帰還したミナと怪獣の遺体処理に向かうカフカに対して、2人の現在地の差を対比するように見せたニアミスシーン。市川レノ(CV.加藤渉)に「なんで諦めちゃったんすか?」と言われたときに鏡に映る、カフカの寂しそうな口元。第2話では怪獣化したカフカに助けられた子どもがミナにお願いした「あの優しい怪獣さんはやっつけないでくれる?」という台詞と、それを聞いて驚いたような表情を見せるミナ。一次試験を合格したらしいカフカに向けた、「あいつ、ずっと頑張ってたもんな」という清掃会社の同僚の言葉。

また、第3話ではリタイアを勧められたときのカフカの「諦めるしかないのか…」から続く心の声と、絶対に諦めない気持ちが生んだ“0.01の解放戦力”が追加に。第4話ではラストシーン前で、保科に問われたキコルがカフカをかばい、自分が本獣を倒したとウソの報告をするシーンが追加されている。細かく見れば他にもあるが、これらアニメオリジナルシーンの追加により、カフカ自身の心の動きと、カフカと周囲の関係性がより深く、分かりやすくなるように演出されている。

原作をどういう方向でアニメ化していくかはそれぞれだが、今回はただのアクションアニメにならないように、キャラクターのドラマを大事にしたいという制作側の意図の表われと思えるところだ。そして、こうしたドラマの演出は、アクションシーンを抑えた第5話では原作再現、アニメオリジナルを織り交ぜて特に目が行く流れになっていた。

アニメ『怪獣8号』第5話より(C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社