登山家・野口健、「世の中のB面を見る」ことを意識 外交官の父から受けた影響が大きなきっかけに<Style2030 賢者が映す未来>

2024/05/15 07:00 配信

芸能一般

日本を離れることで考え方に変化が生まれた


また、日本の富士山についても言及し、新幹線など遠くから見る富士山はA面、実際夏に登ってみた富士山はゴミがたくさんあり、B面だと感じたという。その現状を改善しようと富士山の清掃活動をしようとした野口だが、地元の人から批判された。批判の多さに疲れ、逃げたのは冬のヒマラヤ。

日本にいるだけでは視野が狭くなり、その中で考えようとするが、その場所から離れることで考え方に変化が生まれた。それまでは「自分の考え方=社会の考え方」と思い込んでいたが、立場が異なればとらえ方も人それぞれ、「自分の考え方は世の中の考え方のひとつ」だと気付いた。

日本に戻ってきた後、山小屋の方々とコミュニケーションをしっかり取り問題解決に向けて動いたという。

環境問題に興味を持つために重要なのは“体験”


もともと環境問題に興味がなかったという野口。山に登るようになり、山からいろいろなことを学び自分の人生の道も見えるようになった。このような体験から、自然と接したことがないと、地球環境に対して関心が持てないのではないかと述べた。

環境教育として、学校で講義するのもいいが、やはり「体験」することが大切だという。野口が携わっていた自然体験ができる「野口健 環境学校」に参加する子供たちの親は環境問題に興味を持つ裕福層が多かった。

経済格差が学歴格差を生むように、体験格差も生まれるという。義務教育に体験型環境教育を取り入れることで、格差を縮めることができるのではないかと語った。