コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、渡部大羊さんがX(旧Twitter)に投稿した『人魚の弔い』をピックアップ。
作者の渡部大羊さんが3月16日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、1.6万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、渡部大羊さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
あの海には人魚がいる…。そんな噂がたっていたが、亡くなった親父は「くだらないこと言うな」と言っていた。親父はオカルトが大嫌いで、海にも一切近づかなかった。しかし、そのわりには海をずっと眺めていたのだった。そんな親父・伴次郎は幼いころ、人魚と仲が良かった。
伴次郎は最近海が騒がしいと思っていた。人魚はここらで一番大きな鯨死んだのだという。深海の奴らも早く降りてこないかとソワソワしているのだ。伴次郎は人魚が深海まで潜れることに感心していた。人魚が「お前も連れて行ってやろうか!」と聞くと、伴次郎は「死んじまうからなぁ」と笑うのだった。
亡くなった伴次郎をみて人魚は「死んだなら一緒に行くか?」と尋ねた。家は水まみれ。伴次郎の親族が気づいたころには、遺体はもう無かった。
「村の者たちがお前たちの存在に勘付き始めている。しばらく潜っていろ。…俺はもうここには来ない。達者でな。」幼い頃の伴次郎は人魚にそう言い、去っていった。「でもいいなぁ。どこまでも潜っていけたらさぞ気持ちよかろうなぁ。いつか俺も連れて行っておくれよ。」その言葉を思い出した人魚は、海に亡くなった伴次郎を連れて行くのだった。
海に行くと、たくさんの人魚が伴次郎を歓迎した。みんな、伴次郎を待っていたのだ。「行こう伴次郎」「もうお前を留めおくものはなにもない」そう人魚は問いかけたのだった。
人魚と人間の交流を描いた本作。ネット上では「海の深い愛って良いなぁ」「素敵なお話だ」「読めて良かった」「涙腺緩む」「美しいなぁ」といった、本作に魅了された声が多く寄せられた。
――『人魚の弔い』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
この作品はかつて知人とともに製作した漫画合同誌に掲載していました。「海」をテーマにした合同誌だったので、人魚との交流を題材に制作しました。
――『人魚の弔い』 の中で気に入っているシーンがありましたら、理由と共にお教えください。
序盤で、人魚が伴次郎の顔をぺたぺたと触ったり心臓の音を確認するシーンは、人間とは異なる人魚の感性を表現できた気がして結構気に入っています。
――『人魚の弔い』にはストーリーに魅了された声が多く寄せられていますが、着想はどこから得ているのでしょうか。
何となく、人間と人魚の交流を哀しくもどこかコミカルに描けたらなと考えていました。そこに「遺体を持ち去る」という絵が思い浮かんできて、その絵に繋げる為のストーリーとして組み立ていきました。
――渡部大羊さんにとって人魚とはどのような存在ですか。
よき隣人でありつつもどこか人間とは相容れない存在、なんて思っています。
―― 渡部大羊さんの今後の展望や目標をお教えください。
現在、担当編集者さんと一緒に連載企画を練っています。一日でも早く連載を開始できるように頑張りたいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
これからも皆さんの時間を奪えるような作品を生み出せるよう頑張ります。
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