全体に少しセピアがかったような趣きある画面の中、ソン・ガンホやチュ・ジンモ、パク・ヒョックォンといったベテラン俳優陣が作り上げる重厚な世界観にあって、ヨハン演じるキム・サンは若く理想に燃える青年でありながら、地に足の着いた存在感を放っている。
カリスマ性のあるサムシクおじさんがその野心を託すに足る存在感と、説得力。「ミスター・サンシャイン」や「ハンサン-」といった重厚な作品に出演する中で自ら培ってきた人間ピョン・ヨハンの重みのようなものが、キム・サンの全身からにじみ出ている。「サムシクおじさん」5月22日配信の第6、7話では、サムシクおじさんとタッグを組むことを決心したキム・サンの挑戦がスタートする。
2024年はヨハンにとってさらなる飛躍の年となっているようだ。くしくも「サムシクおじさん」1~5話公開と同日の5月15日には、主演映画「彼女が死んだ」が韓国で公開された。趣味ののぞき見がきっかけで殺人犯のぬれぎぬを着せられてしまった公認仲介士(宅地建物取引士)ク・ジョンテを主人公にしたスリラーで、「サムシクおじさん」で演じる好青年キム・サンとは真逆の“好感度ゼロ”なキャラクターだ。
さらに、主演ドラマ「ブラックアウト」も待機中。こちらは10年前の殺人事件の真実を明らかにするミステリーで、10年前の事件で逮捕された青年ジョンウを演じている。4月に行われた「第7回カンヌ国際シリーズフェスティバル」にてプレミア公開され、期待を集める作品だ。
「ハンサン-」での青龍映画賞の受賞スピーチでは「演技がすごく楽しいです」「生まれ変わっても俳優になりたいと思います」と真っすぐに語り、映画ファンたちのハートをつかんだヨハン。画面からあふれるようなその“演技が楽しい”という純粋な思いこそ、俳優ピョン・ヨハンの魅力の核だろう。
「ハンサン-」での重厚な存在感からは信じられないが、まだ38歳。ピョン・ヨハンという俳優が今後どこまで大きくなるのか、その行方から目が離せない。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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