タカとユージが長年愛される理由は”バディ”力にあり 映画の前に知っておきたい「あぶない刑事」の魅力まとめ

TVerにて「あぶない刑事」「もっとあぶない刑事」傑作選が無料配信中(C)セントラル・アーツ

舘ひろし柴田恭兵が主演を務める映画「帰ってきた あぶない刑事」が5月24日に公開となる。それを記念し、民放公式テレビ配信サービス・TVerにて無料配信中の「あぶない刑事」「もっとあぶない刑事」の傑作選からエピソードをピックアップしつつ、シリーズを初めて観る筆者の視点から見どころを紹介する。

バディ萌え必見!魅力的なタカ&ユージのキャラと関係性


横浜港警察署のはみだし刑事コンビ、舘ひろし演じる“タカ”こと鷹山敏樹と、柴田恭兵演じる“ユージ”こと大下勇次の活躍を描いた本シリーズ。 1986年から1年に渡り放送された連続ドラマ「あぶない刑事」の大ヒットを受けて、翌年にドラマシリーズの続編となる「もっとあぶない刑事」が放映されたほか、スペシャルドラマや7作にも及ぶ映画が製作され、時代を超えて愛されてきた。そして、5月24日はシリーズ8年ぶりの新作となる劇場版8作目「帰ってきた あぶない刑事」が公開される。

筆者はこれまで一度も観たことがなかったが、傑作選がTVerで無料配信されたのを機に初視聴。まず、タカ&ユージの息の合ったバディぶりに心を惹かれた。

バディものはいつの時代も安定した人気を誇る。「相棒」(テレビ朝日系)シリーズの右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)、「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)の修二(亀梨和也)と彰(山下智久)、「ガリレオ」(フジテレビ系)の湯川(福山雅治)と内海(柴咲コウ)、「MIU404」(TBS系)の伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)など、これまでも日本のドラマから多くの名バディが生まれてきた。

バディの魅力を決定づけるのは、それぞれのキャラクターと両者の関係だ。クールだけど胸に熱いものを秘めていて、正義感から突っ走りがちなタカを、少し軟派なところはあるけれど、実は冷静で状況判断力のあるユージがサポートする。正反対とまではいかないが、どちらのキャラも立っていて、互いを補い合っている2人の関係性に萌える人は多いだろう。何よりスピーディーかつド派手なアクションを軽やかにこなす館と柴田がかっこよすぎる。見た目も渋くてハードボイルドなのに、2人のかけ合いがコミカルでとっつきやすい。幅広い世代のファンを得る理由がすぐに理解できた。

犯人はまさかの幽霊?自由度の高い展開が最後まで飽きさせない


あぶない刑事」は刑事ドラマとしてもかなり異色だ。多くの刑事ドラマでは犯行に至るまでの犯人と被害者の背景や、遺族の悲しみなどに焦点が当てられ、全体的に重々しい空気感が漂っているが、本作にはそれがない。良い意味で軽やかで、くすりと笑えるところも多く、観終わった後も爽やかな気分になれる。例えば、TVerで無料配信中の「あぶない刑事」第50話と第51話は最終2話にもかかわらずトーンが暗すぎない。

第50話では、タカとユージが情報屋に狙撃される。のちに情報屋は他殺体で発見され、彼の遺留品から宿泊先を突き止めた二人は、そこから来た電話でタカ殺害に成功しなければ殺し屋の娘が殺されることを知った。娘を助けるためにユージが提案したのは、なんとタカの死を偽造すること。情報屋になりすましたユージが防弾チョッキを着たタカを狙撃し、葬式まで出して黒幕を欺くという展開の新しさに度肝を抜かれた。

浅野温子演じる少年課の真山薫や、仲村トオル演じる後輩刑事・町田透ら港署の仲間たちが偽装葬儀で小芝居を打つなど、コミカルなやりとりも多々ありつつ、最後は捨て身の行動に出るタカをユージがギリギリで阻止する粋な展開に終始し、最後まで飽きることがない。

次の第51話では、今度はユージが何者かに狙撃される。現場に落ちていたのは、数日前に「殺される、助けて欲しい」と港署に通報を入れるも、タカとユージが別の事件で犯人を追跡中だったため間に合わず、他殺体で発見された山中という男の手帳だった。その後も、死んだはずの山中とみられる男が港署の刑事たちを次々と襲撃。最終的に男はタカとユージに銃で撃たれて“消える”。犯人はまさかの幽霊?という含みをもたせた終わり方がこれまた斬新だ。こういう既成概念にとらわれない自由度の高いストーリーこそ、40年近く続く伝説の刑事ドラマたる所以なのかもしれない。

完成披露舞台あいさつより 舘ひろしと柴田恭兵撮影=風間直人