山瀬が羽山に役とプライベートと混同するか尋ねると羽山は否定する。納得できない山瀬は隣にいる白崎にどうかと聞いて白崎の肩を抱いて顔を近づけ、「俺と芝居してて好きになったりしない?」と詰め寄る。バシャッと大きな音がして、見ると羽山がペットボトルを落としており、「ごめん」と羽山はペットボトルを拾い上げる。
その後、山瀬と白崎のキスシーンが撮影される。山瀬は撮影を見ていたであろう羽山が部屋の奥に歩いていくのを見る。羽山が休憩スペースに座っていると、山瀬がやってきて、キスシーンはどうだったかと聞く。羽山は「良かったと思うよ」とぶっきらぼうに言う。
山瀬が「由岐、キスの息継ぎ下手なのかわいいっすね」というと「え」とわずかに動揺する羽山。「さっき一瞬だけ錯覚しそうになりました。あれ?俺、本当に由岐のこと好きかもって。あ、羽山さんにはわかんないか。役と自分、ごっちゃにならないすもんね」と山瀬が言うと、羽山は何も答えずに紙コップの中身を飲み干して立ち上がる。
「明日の涼二と拓海のキスシーン、楽しみにしてますね」と山瀬が言うと、羽山は「ありがとう、期待してて」と静かに言い、手にしていた紙コップを一気に握りつぶすと乱暴にゴミ箱に投げ入れるのだった。
クールで表情には出ない羽山が、山瀬に嫉妬しているのが見て取れて思わずニヤニヤとしてしまった。
◆構成・文=牧島史佳
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