――(伊藤さんとの)撮影時は、アドリブなどもありますか?
自分から意図してアドリブを仕掛けていくことはないですが、芝居の延長で、出てくるものがあった時は、(伊藤さんが)寅ちゃんとして対応してくれます。脚本からはみ出た瞬間でさえも「虎に翼」の世界観がそこなわれないような、どんな時も寅ちゃんでいてくれる姿はありがたいです。
――猪爪家でのシーンはいかがですか?
撮影の待ち時間は、みんなで折り紙したりしています。石田ゆり子さんが折り紙を持ってきてくれて、家族みんなで折りながら「最近美味しいご飯食べた?」とか、そんな他愛のない会話をしたり、ゆり子さんが家族団らんのきっかけを作ってくださいました。食事シーンが多いのですが、撮影が終わったら、そのご飯をみんなでつまみながら話したりと、終始和やかに撮影しています。
――出征のシーンを演じてみていかがでしたか?
台本を読み進め、出征のシーンが近づくと、胸が苦しくて。優三が寅ちゃんと結ばれて、ようやく本当の家族を手にすることができて。寅ちゃんだけでなく、今まで一緒に暮らしていた猪爪家のみんなとも家族になれて、愛する娘もできます。法律の道には行けなかったけど、優三が心の底から欲しかったのは家族だったんじゃないかなという思いがあり、そういう中で、戦況は悪化していって。
本当に台本を読み進めていくのがすごく苦しかったです。 “なんで戦争に自分自身の幸せを奪われなくちゃいけないんだ”という怒りはあるけど、優三の主語は常に寅ちゃんで。戦争に行くのは仕方がないからせめて、寅ちゃんが辛くならないように、悲しむような空気を作らないように、と考えていたと思います。
――「あまちゃん」以来の“朝ドラ”出演ですが、現場に入った印象はいかかですか?
前回、“朝ドラ”に出させてもらった時は、少しの出演だったので。今回、初めて、がっつりと参加できるなって印象です。当時、二十歳くらいだった僕は、右も左も分からずがむしゃらにやっていましたが、そこから約10年経ち、いろいろな現場に参加させてもらったので、今は心は熱く頭は冷静に、現場と向き合えていると思います。
――“朝ドラ”らしさは何か感じていますか?
1週間に撮影する分量が多いとのは、これぞ“朝ドラ”!と感じていて、大変なところかなと思います。なおかつ、一つの役を演じる期間が長いので、じっくりと役に向き合えますし、いろんなゲスト(人)が出たり入ったりするので、自分の役が育っていく感覚は“朝ドラ”ならではだなと感じました。
また、現場の雰囲気が非常に良いです。1年以上一緒に作品を作っていく仲間として、キャストもスタッフも、他の現場にはないような温かさがあって。1週間の撮影の最後のカットを撮り終えると、みんなで“お疲れ”って拍手をしたり、スタッフからも沙莉ちゃんを支えていくんだという懐の深さを感じます。沙莉ちゃんを中心に、このチームで朝を盛り上げていくんだという良い空気が流れているのを感じました。
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