新旧スターに影響を与えた“伝説のバンド”ビーチ・ボーイズの壮大な歴史…確執を乗り越えた“家族の絆”に乾杯

2024/05/28 11:10 配信

音楽 コラム 動画

「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」は、ディズニープラスで独占配信中(C) 2024 Disney and its related entities

映画挿入歌「ココモ」が全米1位を獲得!


1988年にはトム・クルーズ主演の映画「カクテル」の挿入歌「ココモ」が全米1位を獲得。別行動をとっていたブライアンもソロアルバム『ブライアン・ウィルソン』を発表。

そして2023年、1962年発表の初アルバム『サーフィン・サファリ』から約60年を経て、ジャケット写真が撮影されたハワイ、“パラダイス・コーブ”に存命メンバーが再集合。確執を乗り越えて時間を共にする彼らの姿(特にマイクとブライアン)には泣けた。

あともう一つ、当ドキュメンタリーの中でなんとも異様な存在感を放っているのが、先にも少し触れたブライアンらの父マリー・ウィルソンだ。ソングライターとしての経歴も持つ彼は、ビーチ・ボーイズの活動初期にマネジャーを務め、息子たちの成功に尽力した。が、グループが売れるほど支配欲が増し、“嫉妬の鬼”と化していく。自分が音楽家として収められなかった成功を、息子たちがものにしていくことにむかついたのか。

揚げ句の果てにビーチ・ボーイズの著作権を信じられないほど安い値段で売り飛ばし、そのためメンバーは長年にわたって苦労を強いられることになる。また、ドキュメンタリーでは触れられていないけれど、“サンレイズ”という5人組グループをプロデュースして、ビーチ・ボーイズの人気を蹴落とそうとした形跡もある。なんという暴君なのだと思わざるをえないが、それでも、父にとっては愛すべき息子たちであり、息子たちにとっては大きな父であるという点が0パーセントになることはなかった。それがありありと伝わるのも、「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」の深いところだ。

ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」は、ディズニープラスで独占配信中。

◆文=原田和典

「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」は、ディズニープラスで独占配信中(C) 2024 Disney and its related entities