佐藤隆太×岡田義徳×塚本高史「THE3名様」なぜ愛される? 再始動を機に約20年の歴史を振り返る

2024/05/28 18:00 配信

ドラマ 映画

(左から)佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史(c)2005 石原まこちん/小学館/「THE3名様」Partners

2005年に、佐藤隆太岡田義徳塚本高史で実写化され人気を集めたショートドラマ「THE3名様」。石原まこちんによる、毎週4ページからなる連載マンガが原作で、これといった内容のない緩さから、こんなドラマ見たことがないとDVDのみでのリリースだったのにも関わらず話題を集めた。

1話5分もない会話劇で、登場人物はほぼ3人、舞台はいつも同じファミレス。パフェを食べるおじさんを見つけてテンションを上げたり、ポテトフライを食べては勝手に味が落ちた理由を考えたりと、誰もが見たことや感じたことがある些細なことを、とくにオチもなく話していく。

佐藤隆太×岡田義徳×塚本高史×福田雄一監督だからこその世界観に注目!

(左から)佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史(c)2008 石原まこちん/小学館/「THE3名様」Partners

3人組でワンシチュエーション繰り広げるドラマといえば、もたいまさこ・室井滋・小林聡美が三姉妹を演じた「やっぱり猫が好き」(1988~1991年、フジテレビ系)を思い出す人も少なくないが、それよりももっと内容は緩い。会話もつながらなくボソボソと単語だけを繰り返すこともあり、深夜のファミレスの隣で話していてもおかしくない、驚くほどタメにならないどうでもいい会話がほとんど。でもなぜか気になってしまうから不思議だ。

そんな会話を繰り広げるのが、佐藤・岡田・塚本が演じる20代の青年。佐藤演じるジャンボはいつも一生懸命。自由な2人に対してツッコミをいれたり、時にはまともなことを言い出したりするキャラクター。岡田演じるまっつんはマイペース。いつもは無口だけど、ときおり話す言葉にはなぜか重みがある不思議なタイプ。塚本演じるミッキーはリーダータイプで少し陽キャな一面もあるが、言っていることは無茶苦茶…と三者三様の個性を持ちつつも、自然と醸し出す脱力した雰囲気はどこか似ている。学生時代に「こんな男の子、クラスにいた!」と思わす、リアルさがそこにはある。

そもそも「木更津キャッツアイ」(2002年、TBS系)、映画「ROCKERS」(2003年)で意気投合した3人から、実写化したいとの声が上がって誕生した本作。つまり誰よりも彼らが作品を愛し、作品の魅力を理解していたので、実写版には原作の面白さがそのまま投影されているのだ。そこに原作に描かれていない会話のリズムや表情が加わることで、よりリアルで愛らしいキャラクターに仕上がっている。

当時、話題作に次々に出演する若手人気俳優だった佐藤・岡田・塚本が、男友達としかつるまない非モテなキャラクターをどのように演じるのか注目を集めたが、彼らの見せたジャンボ・まっつん・ミッキーは原作そのもの。一度見ると、彼ら以外の配役は考えられなくなってしまうほどだ。キャラクターへの理解度の確かさはもちろん、役だからという気負いのなさも、実写版「THE3名様」を成功に導いた要因の一つと言える。

そんな彼らが作り出した世界観を壊さずにシュールな映像作品に仕上げているのが、当時「ココリコミラクルタイプ」(2001~2007年、フジテレビ系)などでコント作家として活躍していた福田雄一監督。今でこそコメディー映画の第一人者と言われる福田監督が脚本と監督を担当し、バカバカしいけどなぜか惹かれる世界を見事に作りあげた。