“BLドラマブーム”牽引する加藤綾佳監督のこだわりとは?「BL作品だからこうしようと意識しすぎない」<彼のいる生活>

2024/05/29 08:10 配信

ドラマ インタビュー

「逆にBL作品だからこうしようということを意識しすぎないように」


――毎クール数本放送されるほどBLドラマブームが来てると言えますが、BL作品を演出するうえで注意されてることはありますか?

私自身がもともとBLに知識がなかった人間だったこともあって、逆にBL作品だからこうしようということを意識しすぎないようにしてます。今回は特に、恋愛ドラマでありつつ、家族や友人も含めたヒューマンドラマでもあるので、何というか、BL感をあえて狙うと違うドラマになってしまうと考えていました。

――“BL作品”とひとくくりに捉えるのではなく、作品ごとにその作品が持つテーマに向き合う感じでしょうか?

そうですね。作品ごとにそれぞれ大事にすべきポイントとは何かを考えていて、BL作品だからとは考えたことはないですね。「オールドファッションカップケーキ」はアラフォーの男性の生き方や生活感を大切にしようと思いましたし、「体感予報」は原作にもあった刺激的な表現ときちんと向き合うべきだと思いました。

――なるほど、「オールド~」は3次元では無理じゃないかと思ったアラフォー男性のかわいらしさにときめきましたし、「体感予報」はエロティックシーンにもピュアな胸キュンを感じることができました。監督の真摯な姿勢のたまものですね。

ありがとうございます。でも、私はキャストの力そのものが1番大きいと思っています。演じる方が生理的にしっくりこないということは避けたいと常に思っていて、キャストの方に「しっくりこなかったら言ってね」と伝えたり、撮影の合間などにキャストの方と何気なく話したりしてコミュニケーションを取ることでキャスト側も言いたいことを言いやすい環境にしようと心がけています。

――生理的なレベルのリアリティを追求されているんですね。他にもこだわりがあれば教えてください。

視聴者の方も気づいてくださっている部分だと思いますが、色味なども気にしています。「体感予報」のときは湿度を感じるようなトーンで、一方今回の作品では光をやわらかく見せて、初夏のような爽やかな雰囲気を出したりしています。湿度や爽やかさなど画面から目に見えないものも伝わればいいなと思っています。

――最後に「彼のいる生活」の視聴者に向けて、メッセージや最終回の注目ポイントをお願いします。

最終回で夏川と一仁がこんなことをしたら素敵なんじゃないかと脚本家とたくさん話し合いながら形にしたシーンがあるので、注目してもらえるとうれしいです。2人の恋の行方をぜひ見守ってあげてください。

◆取材・文=牧島史佳