ーー俳優業のお話に戻りますが、ご自身の成長を感じたエピソードや、俳優人生の中でターニングポイントになったことを教えてください。
“テニミュ”は一つのターニングポイントですね。先日“テニミュ”の20周年番組の第3回が配信されたのですが、そこで数分私が写る映像もあって、見てみたら「結構うまいことやっていた気でいたけど、これくらいだったんだ」って感じましたね。
若々しいエネルギーや初々しさはいいけれど、見るのがちょっと恥ずかしくなるというか、やりなおしたい〜! って思いました(笑)。今だったらもっといろいろできるのに…って。当時は歌って踊ってラリーして、いっぱいいっぱいだったんですよね。お芝居のことは考えた気になっていただけというか。
ーー過去の自分を見て気づくことって、たくさんありますよね。
そうなんです。自分自身で成長を感じることってなかなかないんですが、18歳くらいの自分と比べたら、今は引き出しというか、ストックみたいなものが増えたのかなと思います。
“テニミュ”で演じた役は自分の代で終わってほしいと思うくらい、思い入れがありました。いざ4thの舞台に行ってみたら、気持ちよく観ることができて、全然なんてことはなかったんですけど。
あとは「陰陽師〜大江山編〜」と「魔法使いの約束」ですね。「陰陽師」は初めて2.5次元舞台で座長をさせていただいた作品であり、4カ月間も中国をツアーで回ったんです。
ーー中国での4カ月公演は、俳優という仕事でも、なかなかできない経験なのでは?
貴重な体験でした。1週間ずつ18都市を回っていくのですが、はじめの頃泊まったホテルに怖い人形が置いてあってホームシックになったりしつつ(笑)、回を重ねるごとにどんどん楽しくなっていきました。
ツアーは演出家が帯同しないので、役者同士で休みの日に集まって、自分たちでズレてきた部分を修正したり、互いの演技を指摘したりといったこともなかなかない経験でしたね。演技って自己判断だとどんどんズレていくので、誰かから指摘してもらうことで気付けることってたくさんあるんです。
ーーそして「魔法使いの約束」にも経験が生かされていくんですね。
“まほステ”は魔法使いたちの異世界のお話で、魔法使いの専門用語も出つつ、会話はわりと日常会話というか…ファンタジーだけど日常という世界観を表現するお芝居に悪戦苦闘しましたね。独特の世界観が確立されているからこそ、葛藤しましたし、だからこそ役に対する思い入れも深いです。
ーー“まほステ”は最新作「舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズPart1 & オーケストラ音楽祭~main story~」が6月から上演されます。
今回のエチュードシリーズは、これまでのメインストーリーとは違って、魔法使いたちの人間模様や心の内面の動きにフィーチャーした物語です。
これまでの戦って踊って、悪を成敗という物語ではなく、若い魔法使いが成長していく作品になっています。これまでとはまた違った新しい“まほステ”を楽しんでいただきたいです。
ーー森田さんが思う見どころは?
私が演じるラスティカは、今回は弟子のクロエを見守るという役割が強いんですよね。弟子の成長に手を貸す、成長を見守る側面がとても強いんですよ。見どころとしては、大人の魔法使いたちが見守る暖かい世界を一緒に感じて、一緒にクロエの応援をして、成長を見届けてもらえたらうれしいです。
曲も合わさってすごくすてきな演出になっていますので、その演出に応えてしっかり頑張りたいです。西の国のラストシーンは見ごたえがあります! ぜひ、楽しみにしていただきたいです。
◆取材・文=イワイユウ
撮影=渡会春加
スタイリスト=齋藤良介
ヘア&メーク=上野彩紗
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