コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、漫画家やイラストレーターとして活動しているおくさんによる単行本『日本昔噺選集 梅花の想ひ人』の第一話「襖向こうの景色」だ。
『日本昔噺選集 梅花の想ひ人』は、京都の本能寺の伝承や、長野の琵琶池にまつわる民話など、日本各地に語り継がれた様々な昔噺をコミカライズした短編集。おくさんのX(旧Twitter)に投稿されると、多くの人の心に刺さったようで3.9万もの「いいね」が寄せられている。
そこで作者であるおくさんに『襖向こうの景色』を手がけたきっかけや、こだわったポイントについて話を聞いた。
雪深い山道にて、ひとりの修行僧が行き倒れている。ふと顔を上げると、足に怪我をしたウグイスが横たわっていた。僧は自身の衣を裂き、ウグイスに巻いて手当てすると「せめて もう一度観たかったなぁ」「春の…」と呟き、意識を失った。
いくばくの時が経ったであろうか。僧が目を覚ますと、そこは立派な屋敷であった。夢かと疑う僧の前に、十二単の女性が現れ、かいがいしく世話をしてくれる。僧は見覚えのない女性に戸惑いつつも、介抱のおかげで回復してゆく。
「もっとお礼がしたいので、お好きなものを教えてください」と申し出る女性に対し、僧は出家前に見た梅の花が頭をよぎり、「もう一度あの梅が見れたなら」と女性に伝える。それを聞いた女性は、「私が呼ぶまで、決して梅の絵が描かれた部屋には入らないで下さい」と言い残し、姿を消してしまう。
広大な屋敷に取り残された僧は、あてどもなくさまよう中で夢か現か不思議な体験をすることになる…。
和風テイストのファンタジーを描いた同作には、「心が休まるような優しい絵に引き込まれた」「とにかく自然の景色が素晴らしい」など好評の声が相次いだ。
――『襖向こうの景色』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
様々な昔話を読んでいたとき、最も印象に残ったので。襖の向こうに壮大な景色が広がっていたらなんて素敵だろう…そして人は見たい光景が、襖一枚向こうにあると知って、その襖を開けずにいられるだろうか…と。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
山、海、竹林に松林など、人の思う理想の風景となるようこだわりました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
主人公が、海の景色がある襖を開けて見た後、思いっきり襖を閉めるシーン。
――作中に登場する自然の景色がとても迫力があって見入ってしまったのですが、どのような手法で描いているのでしょうか。また、描く際に意識していることもあれば、教えていただけると幸いです。
今まで自分が実際に見た風景を参考にしているのですが、それにひとしお加えるよう、「このような風景を見たい」といった願望を入れて描いてます。
――今後の展望や目標をお教えください。
引き続き、作家として活動を続けていたいと思うと同時に、まだ見ぬ景色を見てみたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつもありがとうございます。まだまだ拙いところがありますが、精進していきたいと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
『襖向こうの景色』を含む5篇の物語を収録した『日本昔噺選集 梅花の想ひ人』が発売中です。よろしくお願いします。
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