北村匠海“赤峰”、弁護士として成長し執念によって勝ち取った再審での“無罪”<アンチヒーロー>

2024/06/01 22:30 配信

ドラマ レビュー

瀬古を弾劾するために、人間関係を切り崩していく明墨


明墨は「それ相応の報いを受けてもらう。弾劾裁判だ」と、赤峰や紫ノ宮に、“裁判官を罷免することができる”弾劾裁判に瀬古をかけることと伝えた。

赤峰は、松永(細田善彦)の冤罪(えんざい)を晴らすためにずっと奔走してきたが、松永に有罪判決を下したのも瀬古だった。ということは、瀬古を弾劾裁判にかけて失職させることができたなら、松永の再審にもつながっていくことになる。

最高裁の判事を狙う瀬古がすがりついているのは、法務副大臣の加崎(相島一之)。2人の癒着を明らかにするため、加崎の支援パーティーに明墨が潜り込み、参加していた瀬古に接触し、直接的に挑発した。

挑発に乗らないように気を付けていた瀬古だったが、かつて懇意にしていたが裏切り、見切った政治家・富田(山崎銀之丞)が会場に乗り込んできて、大騒ぎとなった。これも明墨が仕掛けたこと。

一枚岩ではなかった瀬古の人間関係は、一つのほころびから簡単に崩壊した


明墨は、瀬古への怒りが収まらない富田をなだめ、取り行って、息子・正一郎(田島)の傷害事件に関して、瀬古に賄賂を贈っていたことを公表するように仕向けた。

それが決定打となり、瀬古は弾劾裁判をかけられることになった。検事正の伊達原(野村萬斎)に泣きつき、12年前のことを話してしまうかもしれないと脅迫とも取れる言葉を向けるが、伊達原に「今のあなたの言葉を信じる人がどれくらいいるでしょうか?」と一蹴されてしまう。

まさしく瀬古は失墜し、沢原は控訴審で無罪に。そして、赤峰の念願だった松永の再審も無罪を勝ち取り、冤罪を晴らした。

「松永さんは、被害者です」で始まった赤峰の最終弁論。「証拠は物語っています。しかし今一度、法に携わる人間の倫理観というものを見直すべきではないでしょうか。松永さんの光を奪ったのはわれわれです」と、自戒の念もありつつ、司法の在り方について問う言葉は、とても重く、説得力のあるものだった。

その時の赤峰の姿、立ち居振る舞いはまさに“ヒーロー”だった。松永が赤峰を見る目には強い信頼感があり、傍聴席で見ていた明墨が表情もどこか穏やかだった。

弁護士として大きく成長した赤峰。12年前の事件の真相を暴こうとする明墨にとって、より力強い味方となってくれそうだ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部