一方、天性の運動神経の持ち主スホを演じたのは、2002年生まれの22歳、チェ・ヒョヌク。WEBドラマ「リアル:タイム:ラブ シーズン1」(2019年)で主演しデビューすると、「ラケット少年団」(2021年)ではバドミントン部のムードメーカーを明るく爽やかに演じ、「SBS演技大賞」新人賞を獲得。ブレイクのきっかけになったのが、キム・テリ&ナム・ジュヒョクの青春ドラマ「二十五、二十一」(2022年)だ。
夢と現実のはざまで葛藤する若者たちを描いた同作で、ヒョヌクはヒロイン・ヒド(テリ)のクラスメート・ジウンを演じた。ジウンは、明るい性格でヒップホップダンスやバンド演奏もこなす人気者。ボナ(宇宙少女)演じる同級生ユリムへの真っすぐな恋心も爽やかで、“7組のイケメン”と呼ばれ、視聴者に愛された。今作でも、そんなジウンに通じる爽やかなイケメンぶりが存分に楽しめる。
そんな注目のライジングスター2人が演じる正反対なシウンとスホの友情が、本作の見どころだ。
勉強にしか興味がないシウンと、バイトに明け暮れて教室では居眠りばかりのスホ。はじめは接点がなかった2人だが、不良グループ相手にキレたシウンをスホが止めたのをきっかけに、変化が見え始める。止めに入ったスホに殴りかかったことを「ごめん」と素直に謝るシウンに、何事もなかったかのように受け入れて「それなら飯でもおごれ。じゃあな、また明日」と去っていくスホ。これを機に、自分以外の人間を誰ひとりとして受け入れようとしなかったシウンが、スホには心を開き始める。
そんな2人にもう一人、転校生のボムソク(ホン・ギョン)が加わって、3人の間にはぎこちないながらも友情が芽生えていく。シウンが不良グループに連れていかれるのを見て「助けに行かないと」とスホに助けを求めるボムソク。ケンカ騒ぎの後、「お前らのせいで遅刻したからバイト手伝え」というスホに、素直に応じるシウン。凸凹感いっぱいの3人で焼肉を囲む、ぎこちなくも和やかな時間に癒やされる。映画「潔白」(2020年)で「百想芸術大賞」映画部門新人賞を受賞した注目株ホン・ギョンも加わった3人の友情ケミにも注目だ。
チェ・ヒョヌクを中心としたリアルなアクションに加え、映画仕立ての圧倒的な映像美、スタイリッシュな演出も見どころの本作。演出を務めるのは、ミジャンセン短編映画祭で最優秀作品賞を受賞したユ・スミン監督。加えて「D.P. -脱走兵追跡官-」(2021年)で知られるハン・ジュニ監督がクリエイティブディレクターとして参加。「第27回釜山国際映画祭」で公式上映され、Wavveで公開後には、2022年有料加入者1位を記録した。
さらに、主演のパク・ジフンが「青龍シリーズ賞2023」最優秀新人俳優賞を受賞、アメリカForbes誌が発表した「The 20 Best Korean Dramas of 2022(2022年最高の韓国ドラマ20)」にも選ばれるなど、大きな反響を巻き起こした同作。早くもシーズン2の制作も決定し、期待の声が高まる新世代の学園アクションだ。
◆文=酒寄美智子
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