「スター・ウォーズ」の新オリジナルドラマシリーズ「スター・ウォーズ:アコライト」が、6月5日よりディズニープラスにて日米同時独占配信された。同作では、映画「スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)」の約100年前の平和な時代を舞台に、ある事件をきっかけに忍び寄る“闇”の脅威を描くストーリーが展開される。この作品の時代背景としては“ジェダイ”の黄金期ということ。“ジェダイ”は「スター・ウォーズ」シリーズを見ている人にはおなじみのワード、存在だと思うが、神秘的なエネルギーである“フォース”を学び、そしてそれを利用して超人的な力を発揮できる者のこと。銀河の平和と正義の守護者で、ジェダイ・オーダー(ジェダイ騎士団)という集団を構成し、そこで厳しい訓練を受けることによってフォースの力を極めることができた。ヨーダをはじめ、オビ=ワン・ケノービ、ルーク・スカイウォーカーらがそう。その“フォース”を使える者全てが“ジェダイ”ということではない。フォース使いでありながら、ジェダイと敵対する存在がいる。それが“シス”だ。ここでは「―アコライト」で重要な存在となる「“シス”とは何か?」をあらためて解説しようと思う。(※以下、過去作のネタバレを含みます)
シスは、“ジェダイの騎士”と敵対する存在で、“シスの暗黒卿(Dark Lord of the Sith)”や“シス卿(The Sith Lord)”と呼ばれる。ジェダイと同じくフォースを使うことができるが、平和のために使うジェダイの“光明面(ライトサイド)”ではなく、怒りや憎しみなどの負の感情による攻撃的な“暗黒面(ダークサイド)”のフォースを使う。ライトセーバーの色が赤いのも特徴だ。
ジェダイはジェダイ・オーダーといった集団を形成していたが、シスは師弟関係で結ばれた2人組で行動。シスになった者は、「Dark Lord of the Sith」の最初と最後からとった「Darth(ダース)」という名前を名乗ることとなる。ダース・ベイダー、ダース・モールといった感じで。
シスの目的は銀河を支配すること。古代からシスは存在していたが、1000年以上もの間、身を隠し、表には出ずに銀河で起こる事件を巧妙に操っていた。その銀河の支配を達成したのが、ダース・シディアスことパルパティーンだった。“皇帝”を名乗り、共和国の実権を握ったシディアスは、弟子のダース・ベイダーに“ジェダイの抹殺”を命じた。ダース・ベイダーは、「スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)」から「スター・ウォーズ/シスの復讐(エピソード3)」の新三部作に登場する “ジェダイ”のアナキン・スカイウォーカーが暗黒面に堕ちた姿。
それでは“シス卿”の中から重要なキャラをいくつか紹介しよう。まずはパルパティーン/ダース・シディアス。シスを復活させ、ジェダイ・オーダーを滅ぼした。「ファントム・メナス(エピソード1)」からナブー代表のパルパティーン議員として登場し、表と裏の顔を巧みに使い分け、長い年月をかけて銀河共和国の実権を握った。銀河元老院の最高議長となり、銀河帝国を樹立。皇帝と名乗り、恐怖と力で銀河を支配した、まさに悪の化身。
その弟子、ダース・ベイダーは、クローン戦争の英雄だった“ジェダイ・ナイト”のアナキン・スカイウォーカーがフォースの暗黒面の誘惑に負けてシス卿となった姿。ダース・シディアスに長年仕え、ジェダイ・オーダーを壊滅させた。
「ファントム・メナス(エピソード1)」に登場した赤い顔のダース・モールも強烈なインパクトを残したシス卿だ。ダース・シディアスに訓練され、高い戦闘能力を持っている。戦略を練る達人でもあり、両方に伸びるダブルブレードのライトセーバーを巧みに使い、残忍な攻撃を仕掛ける。クワイ=ガン・ジンやオビ=ワン・ケノービとの対決はシリーズの中でも屈指の名シーンと言える。
「クローンの攻撃(エピソード2)」と「シスの復讐(エピソード3)」に登場するドゥークー伯爵も忘れてはいけない存在。ヨーダの教えを受けたジェダイだったが、ジェダイ・オーダーに幻滅して、より大きな力を求めてオーダーを去った。アナキンはフォースの暗黒面の誘惑に負けて堕ちたが、ドゥークーは自らの意思でライトサイドを捨てた。ダース・シディアスのもとで弟子になり、“ダース・ティラナス”という名を授かり、分離主義軍を率いたりしていた。ちなみに「スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ」の第4話「シス卿」で、ドゥークーが自らの意思を示す場面が描かれている。
「スター・ウォーズ」最新作となる「スター・ウォーズ:アコライト」は、ジェダイ黄金期を舞台に銀河の謎とダークサイドの勃興、台頭を追うオリジナルドラマシリーズということで、今まで知らなかった“シス”の暗躍を目の当たりにすることができそうだ。
◆文=田中隆信
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