坂東龍汰、近藤公園、綱啓永らが出演し、2月10日から3月3日にかけて東京・シアタートラムで上演された舞台「う蝕」が、CS放送「衛星劇場」にて6月16日(日)昼5時よりテレビ初放送される。
本作は被災した島で遺体の身元確認のため集められた歯科医師たちをめぐる不条理劇。ドラマ「RoOT / ルート」(2024年、テレ東系)、現在放送中のドラマ「366日」(フジテレビ系)など話題作への出演が続く坂東、8LOOMのメンバーも務めた綱、そして近藤、正名僕蔵、新納慎也、相島一之という実力派俳優が集結。
制作陣には人々の葛藤を対話中心に描き出す作劇に定評のある横山拓也と、公共劇場から商業演劇まで幅広く活動し今最も勢いのある劇作家・演出家のうちの一人である瀬戸山美咲がタッグ。坂東、近藤、綱、正名、新納、相島の6名が、被災した島で遺体の身元確認のため集められた歯科医師たちをめぐる不条理劇を創出する。本編終了後には、坂東、近藤、瀬戸山のアフタートークも放送する。
小さな漁村、沈丁花が見事に咲く瑞香院という神社、あとは海沿いのささやかな温泉があっただけのコノ島が、25年前のリゾート開発でおかしなデザインのホテルが建ったり、温泉施設ができたり、本土との定期連絡船が設定されたり、随分様変わりした。
そのことが直接関係あるわけではないだろうが、コノ島を「う蝕(しょく)」が襲い、島のあちこちを陥没させて、たくさんの人を飲み込んだ。この地盤沈下のような現象を「う蝕」と言い出したのが誰なのかは不明だが、まるで虫歯がジワジワと侵食してくるように、地面にポッカリと穴を開けていく。
犠牲者の身元判明のために集められた歯科医師たちがいる。コノ島に移住して歯科医院を開業している根田(新納)、本土からやってきたこだわりが強い歯科医師の加茂(近藤)、臨床実習で加茂に世話になったという木頭(坂東)の3人。彼らが歯科治療のカルテを使って、犠牲者の歯の状態と照合していく作業を進めていこうとしていた矢先に、2回目の「う蝕」がやってきた。遺体安置所や避難所までもが穴に沈む。またいつ次の「う蝕」にやられるかわからない危険性もあったので、コノ島に全島避難指示が出された。
まだ自分たちの仕事は終わっていないと、ここに留まることを選んだ歯科医師たち。そこに、役人の佐々木崎(相島)と、2度目の「う蝕」のニュースを聞いて居ても立ってもいられなくなった派手な出立ちの歯科医、剣持(綱)が本土からコノ島に渡ってくる。
土砂を掘り起こす土木作業員が来てくれないことには、今、彼らにできる作業はなにもない。しかし、作業員たちは待てど暮らせどやってこない。現れたのは、思わせぶりに白衣をまとった久留米(正名)という男。彼は「この中に、ここにいるべきではない人間がまざっている」と言う。
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