<響け!ユーフォニアム3>部内の不協和音が久美子と麗奈を引き裂く大波に「大事な関西大会前にこの状況は絶望」の声

2024/06/07 17:14 配信

アニメ レビュー

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第九回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

オーディションの結果にさまざまな部員の反応


合宿2日目の夜、花火を楽しむ部員たち。オーディション結果について久美子と話す高坂麗奈(CV:安済知佳)は、滝の判断を信じるだけとキッパリ。さらに麗奈は、オーディション結果に不満を漏らしていた下級生3人を見つけると、彼女たちを呼び止めてあとで注意するなど奔走。真由は釜屋つばめ(CV:大橋彩香)とふたりで線香花火を楽しんでいた。自分が選ばれたことにみんなが怒っていると考える真由に対し、つばめはそんなことはないと伝え、滝の公正さと真由の選出を素直に喜ぶのだった。また一方で、副部長の塚本秀一(CV:石谷春貴)はオーディション結果に納得していないひとり。このように、部員たちの反応はさまざまだが、部の雰囲気は悪くなったまま、合宿は終わりを迎えた。

麗奈やつばめのように滝のことを信じている部員もいれば、秀一のように納得していない部員もいるこの状況は、過去のオーディションでもたびたび描写されてきたことだ。そしてそのほとんどが、それぞれの立場に左右されているのも共通していて面白い。麗奈は滝の指導を、つばめは真由の演奏を、秀一は久美子自身を、それぞれを大切にしているゆえであって、完全な公正さや客観性を持っているとは言い切れない。なかでもひときわ感情的だったのが秀一だ。これまで副部長としてわりと大人な振る舞いを見せてきた秀一だが、今回は明らかに久美子が落選したことに不満を抱いていた。子供っぽさが全開の秀一だったが、彼の久美子を想う気持ちは本物なのだと思うと、不思議と可愛く思えてくるから不思議だ。これにはSNSでも「秀一が拗ねてる!」「仏の副部長はどこへ?」などの声があがっていた。

麗奈、久美子に「部長失格」の烙印!?

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第九回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024


合宿も終わり、学校での練習に戻る北宇治高校吹奏楽部。リーダー会議では、オーディションに落ちた部員たちのモチベーションが落ちていること、部全体の雰囲気が重いことなどが議題に上がるも、麗奈は演奏のクオリティが上がっていることを理由にこのままでいいと意見する。とは言え、部内の空気の重さは誰しもが感じていることで、帰り道では加藤葉月(CV:朝井彩加)や川島緑輝(CV:豊田萌絵)からもオーディションの話題が上がる。実力で選ばれていると信じている葉月と、実力が同じなら部内の雰囲気も考慮すべきという緑輝と、やはりここでも意見はさまざまだ。その後、橋でふたりきりになった久美子と麗奈は、改めて今回のオーディション結果について意見を交わす。麗奈から滝への信頼度を問われた久美子が、今回の結果については100%信用することはできないと正直に答えると、麗奈は冷たく「部長失格ね」と言い放ち、久美子を置いて去っていくのだった。

オーディション結果を巡る部内の不協和音は、ここへきてパートリーダー、幹部、仲良し4人組をも飲み込む大波となり、ついには久美子と麗奈の関係性にも亀裂を生じさせてしまった。コンビニで4人が話し合うシーンでは、互いに離れた距離を保っており、この距離がそのまま今の関係性を表しているかのよう。つい最近まで、駅のベンチに横並びで座っていたあのころを思い返すと、なんともやるせない気持ちになる。そして久美子と麗奈の決別シーンはさらにショッキングだ。これまで麗奈の意見を尊重していた久美子だけに、滝への疑念を口にすればこうなることもきっと予想できたはず。言い換えれば、久美子はこの瞬間、麗奈との関係よりも部長としての考えを優先したとも言えるのだ。久美子のこの選択は、今後のふたりの関係性にどう影響していくのだろうか? またラストシーンでは久美子が滝を訪ねて話しかけており、次回、滝の口からどんな言葉が発せられるのかにも注目したい。さて次回第十回は6月9日(日)放送予定。期待して待とう!

■文/岡本大介

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第九回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024