深夜番組「マスカットナイト・フィーバー!!!」(テレビ東京系)で、セクシー女優軍団に芸人顔負けのお笑い企画に挑戦させたかと思えば、「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジ系)では、“落とし穴”をとことんショーアップした「全落オープン選手権」など、ゴールデンタイムとは思えぬほどエッジの利いた爆笑企画を展開。局の垣根を越え、放送時間も問わず、常に最先端の“テレビの笑い”を追求し続ける演出家・マッコイ斉藤氏。“お笑い番組ファンが最も信頼を置く作り手”である彼が見つめる、テレビの現在と未来とは――?
――マッコイさんがテレビマンとしてキャリアをスタートさせたのは?
「もともと僕はビートたけしさんが大好きで。山形から上京してきたときに、どうにかたけしさんに会えないかと思っていたら、ある雑誌で、IVSテレビ制作(※番組制作会社)が『(天才・たけしの)元気が出るテレビ!!』(1985~1996年日本テレビ系)のスタッフを募集している広告記事を見つけたんですよ。それですぐに応募して、入社できたまではよかったんですが、いきなり『タレントショップの店長をやれ』と言われて(笑)。当時、IVSにはタレントショップを運営する部署があったんです。そこで結局、2年くらい働いたのかな。その後ようやく、制作部への異動願いが通って、『元気』のADにしてもらいました。
ところが、このADの仕事というのが本当にキツくって。休みなんて全然ないし、今の若い人が『元気』のADをやったらきっと3日で辞めますね(笑)。…というくらい大変だったんですけど、何だかんだ言って、楽しかった記憶があるんですよね。当時の直属の先輩は、高橋がなりさん(※その後、アダルトビデオの監督などを経て、現在実業家として活躍中)。僕らは『雅也(まさや)さん』と呼んでいたんですけど、雅也さんには鍛えられました。総合演出はテリー伊藤さんが務めてらっしゃったんですが、僕は末端のADだったので、きっと伊藤さんはいまだに僕のことを知らないと思います(笑)」
――そんな「元気が出るテレビ!!」で学んだことは?
「やっぱり、たけしさんや伊藤さんをはじめ、最先端の笑いを作っている人たちが集まっている番組でしたから、学んだことはたくさんあるんですが、強いて言うなら、“面白さ至上主義”というか、『面白さのためなら何でもやっていいんだ』っていう、テレビの笑いの本質を教わった気がしますね。何せ、『早朝バズーカ』だとか、寝ている人に無理やり人工呼吸を施す『早朝マウストゥマウス』とか、あと、林家ペー・パー子さんの車を1トンの石で潰したりとか、毎日そんなムチャクチャな企画ばっかり考えてましたから(笑)。で、僕なんかは、その感覚がいまだに抜けてないわけですよ(笑)。もし最初についた番組がクイズやドキュメンタリーだったら、こういう人間にはなってなかったんでしょうね」
――(笑)。「元気が出るテレビ!!」時代、マッコイさんが発案した企画でオンエアされたものは?
「一番最初は『早朝逆バンジー』ですね。寝ている出川哲朗さんをクレーンで吊り上げて、空中に放り投げるっていう(笑)。出川さんには『首の骨、折れるわ!』って本気で怒られたんですけど…」
――でも、そこで手応えを感じたわけですね(笑)。
「そうなんです。そこから僕の企画が3本くらい連続で採用されて、オンエアで爆笑を取ったんですよ。たけしさんもVTRを見ながら『くだらねえな~』って笑ってくれて。それですっかり調子に乗ってしまったという(笑)」
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