――その後、マッコイさんは自らの制作プロダクションを立ち上げて、さまざまな番組を手掛けることになるわけですが、ターニングポイントとなったお仕事はありますか?
「13、4年くらい前、箸にも棒にも掛からないディレクターだった僕に、とんねるずの石橋貴明さんが声を掛けてくださったとき。あの瞬間は、間違いなく自分にとってのターニングポイントですね。僕は昔から、矢作(兼/おぎやはぎ)さんとホリケン(堀内健/ネプチューン)さんと仲良くさせていただいているんですけど、3人で一緒に飲んでいたら、たまたまその店に貴さんがいらっしゃって。そこで少しお話させていただいたんですが、貴さんが『おまえ、うちの番組やってみろよ』って言うんですよ、初対面の僕に。それを機に、『みなさんのおかげでした』に参加させてもらえることになって」
――そして現在、マッコイさんは「みなさんのおかげでした」の演出を手掛けています。
「本当に、あのときに貴さんと出会っていなかったら、今の僕はいませんから。足を向けて寝られないです」
――お話を伺っていると、ビートたけしさん、テリー伊藤さん、とんねるずさんと、そうそうたる顔触れの方々から導かれているかのようにキャリアを積まれているのが分かります。
「光栄です。だって、ビートたけしさんととんねるずさんさんっていったら、僕らの世代にとってはお笑い界の2大巨頭ですよ? 普通に山形に暮らしていたら、絶対に会えない人じゃないですか!」
――(笑)。石橋さんと実際に一緒にお仕事をしてみて、いかがでしたか。
「貴さんは、よく『無視、称賛、非難』っていう言葉をおっしゃるんですよ。これはもともと野村監督(※野村克也氏/ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、東北楽天ゴールデンイーグルスなどの監督を歴任)がよくおっしゃっていた格言で、人間はそもそも周りから『無視』されるのが当たり前だと。でも、そんな状況で力を発揮して初めて『称賛』される。ところが、その後は周囲からの『非難』が待っている…というような意味なんですが、この言葉は、常にどこか頭の片隅にありますね。実は僕、『みなさんのおかげでした』に入って最初の1年くらい、貴さんに全く口を利いてもらえなかったんです。当時はかなり落ち込みましたけど、今にして思えば、僕はそのころはまだディレクターとして何ひとつ結果を残せていなかったから、おそらく敢えて、僕に声を掛けなかったんですよね」
――ちなみに、「みなさんのおかげでした」でアカマタというヘビを持ち込んだのも、マッコイさんの発案だそうですね(笑)。
「昔、ガレッジセールと沖縄ロケに行ったとき、現地の方から、『この辺りにアカマタっていう、ものすごく凶暴なヘビがいる』って話を聞いたんですよ。ハブが逃げ出すとまで言われているくらい獰猛だけど、でも毒は持っていないらしい。それを聞いて、無毒だったら噛まれても大丈夫だろうと思って、ゴリに『おまえ、噛まれろ』って言ったんです(笑)。そしたら、ゴリが見事に鼻を噛まれて。あそこで腕とかを噛まれても大して面白くないでしょ? やっぱり一番面白いのは鼻なんですよ(笑)。そういう意味では、あんなに笑いを裏切らない生き物はいないですよ(笑)」
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