1982年の連続テレビアニメ「超時空要塞マクロス」からスタートした「マクロスシリーズ」。SF・ロボットアニメの金字塔として不動の人気を誇り、「高速ロボットアクション」「歌」「三角関係の恋愛模様」という要素を中心に多くのファンから支持され続けている。中でも「歌」「三角関係の恋愛模様」という点において、誕生から16年たった現在でも根強い人気を誇るキャラクターが「マクロスF」に登場するランカ・リーだ。6月12日からはテレビシリーズの「マクロスF」が、14日からは劇場版「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」など3作品がディズニープラスで配信されたということで、今回はランカの魅力を分析する。(以下、ネタバレを含みます)
「マクロスF」は、2008年にシリーズ生誕25周年記念作品として制作されたシリーズ3作目となる連続テレビアニメで、2009年、2011年にはストーリーを再構築した劇場版も製作された人気作。「超時空要塞マクロス」から50年後の西暦2059年の宇宙を旅する長距離宇宙船団「マクロス・フロンティア」を舞台に、主人公と2人のヒロインが織り成す物語を描いている。
ランカは同作のヒロインの一人なのだが、彼女は圧倒的なアイドル性を持ったキャラクターで、男心をくすぐるポイントが満載の“人気が出るべくして出た”王道ヒロインといえる。
もう一人のヒロインであるシェリル・ノームに憧れて歌手を目指しており、歌手になるためひたむきに頑張るところや、ショートカットで明るく元気な性格、純粋で前向き、時に見せる子どもっぽいしぐさ、話が進むにつれて驚きの成長を見せる、かわいらしくいじらしい言動といった“推しポイント”が満載の設定の上、実は宇宙を揺るがす力が秘められており、話が進んでいくとその力が覚醒するという格好良さまでも有しており、男心だけでなく少年心までもくすぐる始末。
さらに、シェリルとは対照的なキャラクターとしてすみ分けがなされており、両者によるコントラストも彼女の魅力に拍車をかけている。美・セクシー・大人というポジションを担うシェリルとのシーンでは、それが顕著に表現されており見応え十分。特に、2人による歌唱シーンは「ウルトラマン」と「仮面ライダー」の夢の共演のようなパンチがある。加えて、そんな2人と“三角関係な展開”を繰り広げる主人公に感情移入して見れば、“沼って”しまうのは避けられない。まさに制作陣の計算通りに、彼らの手のひらの上で転がされてしまう。
また、声を担当する中島愛の歌と演技もランカの魅力の一つ。約5000人の中から選ばれた中島は、ランカの若さあふれる人間性を演技で瑞々しく表現すると共に、歌も歌唱。両方とも務めることで、より楽曲に気持ちを乗せて歌唱しているところもファンたちの心をくすぐった。もちろん、声・遠藤綾、歌・May’nと分業しているシェリルもランカにはない魅力があるのだが、ことライブイベントにおいては「声の担当者が実際に歌っている」というのが、ファン心理としてはグッと来るポイントだったりするからだ。
3月に開催された「AnimeJapan 2024」で、中島は「○○役の中島愛ではなく“ランカ・リー=中島愛”という感覚でもう1つ人生が増えたみたいな感じ。私と何もかも生きてきた道が完全に重なるわけではないですけど、ランカ・リーはもう1人の自分のような存在です」と、役への思いを打ち明けていた。
制作陣による計算され尽くした魅力の数々と狭き門を突破して大きな役を勝ち取った中島の情熱あふれる演技と歌唱。これらが掛け合わさったことで生まれた魅力が、そのままランカの魅力となって16年以上もファンたちの心をつかんで離さないのだろう。
ロボットアクションの迫力や魅惑的でセクシーなお姉さんヒロイン、謎が明かされていくにつれて引き込まれていくストーリーなどではなく、“王道ヒロイン”を構成する数々の魅力に注目して見ると、また新しい魅力に気付くことができるはずだ。
なお、本作の配信がスタートしたディズニープラスでは、2024年内にマクロスシリーズ全18タイトルを配信予定。
◆文=原田健
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