コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「『お別れ』の偽装工作が取り返しのつかないことになるヤンキー娘」を紹介する。作者の黒葉だむさんが、6月2日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.1万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、黒葉だむさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
彼女である学校一のヤンキー姉崎朱音に「大事な話がある」と呼び出された小山内童児。最近は姉崎のモデルの仕事が忙しく会えていないことや、いつも利用する喫茶店とは違う店へ呼び出されたこと、そして普段とは明らかに違う重い空気…小山内は、胸の奥が締め付けられるような感覚を覚える。
そんな中、突然「別れよっか…」と姉崎が沈黙を破る。小山内は目を丸くして「ど…なんで…ッ?!」と問いかけると、姉崎はつらつらと理由を話し始めた。しかし、小山内の頭には全く話が入ってこない。
好きな人ができてしまったのかと小山内が聞くと、そういう理由ではないという姉崎。しかし小山内は今にも泣いてしまいそうな表橋を浮かべている。姉崎は「別に友達でなくなるわけじゃないし、これからも普通に」と言うが、小山内は別れを切り出されてそれどころではない様子。
「…本当にこれで終わり……?」「嫌だいやだイヤダ別れたくない…ッ」「駄々こねて泣き叫んで土下座したら考え直してくれる??」などと考えを巡らせるが、正解がわからない。
そして、「姉崎さんはそれ……でいいの?」と問いかけた小山内は、「まぁしゃあないって言うか…でもアンタが――」という姉崎の言葉を遮り、「わかった!!!」「じゃ…行くね!」「今までありがとね…っ」と言ってその場を立ち去ってしまう。しかし、姉崎が別れ話を切り出したのにはある理由があった――。
この物語を読んだ人たちからは、「苦しい…」「心が痛い…」「たったひとつの嘘がこんなことになってしまうとは」「切ねぇ…」「すれ違いがぁ〜」など、多くのコメントが寄せられている。
――『「お別れ」の偽装工作が取り返しのつかないことになるヤンキー娘』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
元々は2018年頃にX(旧Twitter)で始めた漫画「ヤンキー娘とお友達から始めてみた」シリーズの最終章としての回でした。内容は、学校一のヤンキー娘に告白してフラれるも「お友達」になるという、精神的に少し幼い男子がヤンキー娘に鍛えられながらも距離を縮めていこうと奮闘する、甘さとスパイスの効いたスローラブコメです。現在までに同人誌9巻まで出ていて、ありがたいことに1〜5巻分を加筆修正したものを商業コミックとしても出させていただいております。
――本作では、お互いのことを思っているのにすれ違ってしまう二人の姿が印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
普段は、ビシッと一言を放って男子を成長させる、しっかりしたヒロインという展開が多いのですが、この回からはヒロイン自身も何かしら成長する展開にしようと思いました。ささいな行き違いや感情的な言葉、安易な行動で人間関係が希薄になっていくというありそうな描写にこだわったのでそこを注目してもらえたらと思います。最終章は、今までは気持ちが“男→女”の一方通行気味だったものが、ヒロインから主人公に気持ちが向かうターンに入るので、自分自身もそこを描くのが楽しみです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
偽装のお別れを彼女に切り出されるシーンの男子の思考あたりですね。コマの下側、視界が涙でにじんできている演出など、辛いけどどうしようも無い感情、台詞を出せたかなと思います。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
ヤンキー娘に関しては、序盤は過去の自分の行動や言動を思い返したりしてパッと思いついたことを短い物語にして作っていました。最近は散歩中にキャラクターの妄想したり、映画やドラマを観たり、漫画を読んだりして着想を得ています。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
ヒロインを可愛く描くこととデッサンに気を遣っています。あとは表情や動作もなるべく繊細な心情の変化を出せるように工夫しています。
――今後の展望や目標をお教えください。
まずはヤンキー娘シリーズをしっかり完結させたいですね。最近は自分の苦手な構成部分を鍛える為に脚本術の本を読んでいるので、ストーリーの軸とキャラクターがしっかりした展開力のある漫画を描けるようになりたいと思っています。画力もアップデートし続けて、幅広く長く活動できればと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
今後の展開が不安という方もいらっしゃると思いますが、この作品は最終的に読後感の良いものを目指していますので、続きが気になった方はX(旧Twitter)をフォローして気長に更新を待っていただけたらと思います。読んでいただきありがとうございました!
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