元乃木坂46・樋口日奈、自慢の髪を切って挑んだ「教場II」が転機に「初恋不倫」では人妻「何かおかしい」ではリポーター…多彩な役こなす実力派俳優へ

2024/06/20 08:10 配信

ドラマ コラム

樋口日奈※2019年ザテレビジョン撮影

2022年11月に乃木坂46を卒業してから、樋口日奈は着実に存在感を増している。7月3日(水)からは初主演ドラマ「初恋不倫~この恋を初恋と呼んでいいですか~」(BSテレ東ほか)で夫の不倫に悩みつつ、隣人の男性に心揺らぐ人妻役に挑む。4月からはバラエティー番組「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)のレギュラー出演も始まり、毎クール、見かけない時期がないほどだ。今回はそんな樋口の俳優としての魅力に迫る。(以下、出演作のネタバレを含みます)

2011年に乃木坂46の1期生として活動開始


1998年生まれの樋口が乃木坂46の1期生に選ばれたのは2011年、13歳の時。気付けば人生の半分近くを芸能界で過ごしてきたことになるが、彼女の名前が乃木坂46ファンではなくグループ外にも広く知られるようになったのは2021年のドラマ「教場II」(フジテレビ系)だろう。木村拓哉が主演する「教場」シリーズの第2作で、樋口にとっては初めてのキー局ゴールデン帯ドラマの出演だった。警察学校生の坂根千亜季の役に臨んで、彼女はトレードマークにしていたロングヘアを約30cmカットして、他の俳優と共に本当の警察学校さながらの訓練を経て撮影に臨んだ。

この頃を、樋口は後にかなりつらく思い悩んでいた時期だったと振り返っている。「教場II」の中江功監督に演技を認められたことで、大きな自信になったという1作だった。それからはショートヘアで通しているので、彼女が髪を長くしていたことを知らない人も少なくない。

大胆なイメチェンも話題になったが、ここから樋口の俳優としての快進撃が始まる。2021年には舞台「フラガール」に主演。2022年には「世にも奇妙な物語」(フジテレビ系)、「何かおかしい」(テレ東系)に出演。「世にも奇妙な物語」では髪を金髪にしてセクシーな配達のお姉さんを演じた。ホラー作家・雨穴の原案によるサスペンスドラマ「何かおかしい」ではラジオ番組のリポーター・小野寺心愛として出演し、短いシーンでもインパクトを残した。

リポーター・小野寺を演じた樋口日奈※画像は樋口日奈オフィシャルInstagram(higuchi_hina_official)より

乃木坂46卒業後は俳優として大躍進


樋口らしい、ちょっと色っぽい快活な女性の役が続いていく。乃木坂46を卒業すると、2023年1月からはBS松竹東急での「かりあげクン」に、ドラマオリジナルの新人派遣社員・清水彩花役で出演。原作が昭和以来の長寿4コママンガなだけに、令和の現代には牧歌的過ぎるかもしれないオフィスコメディーだが、樋口のおかげでいっそうカラっと明るい作風になった。 

2023年に「何かおかしい」のシーズン2が始まると、樋口演じる小野寺心愛は意外な形で再登場する。シーズン1で事件に巻き込まれ失踪したと思われていた小野寺は、シーズン2で何事もなかったかのように再登場するのだが、終盤の復讐(ふくしゅう)劇に一枚かんでいる。ここでも彼女による小野寺の明るいキャラクターと、次第に明らかになっていく事件の真相とのギャップが面白い。なお、同ドラマは6月15日よりLeminoでの配信もスタートしている。

同年にはサウナを舞台にしたドラマ「湯遊ワンダーランド」(BSテレ東ほか)にも出演しており、主人公の漫画家・万舟きつこのアシスタントで、赤や青のウィッグをかぶった沼崎として、個性的なファッションやサウナでの色気ある姿を見せた。コメディーからホラーまで、何でも似合う俳優になり、このほど始まる初主演ドラマでは、大人の不倫劇に挑む。よく笑顔を振りまいている彼女が、夫の不貞と隣人への恋心に揺れ動いてどんな表情を見せていくのだろうか。

樋口は自分の性格を、負けず嫌いだと自負している。「教場II」以前にも演技の経験はあったが、乃木坂46での前半期はなかなか選抜メンバーにも選ばずにもがいていた。やがて樋口をずっと“憧れの先輩”に挙げている阪口珠美のような後輩もでき、「教場II」の厳しい現場で自信をつけた。俳優としても注目され始めた充実のタイミングで乃木坂46を卒業。その後は仕事が絶えない演技派の道を歩んでいる。「初恋不倫」で大人の色恋劇の中で見せる情感も、次なる躍進のきっかけになるだろう。

◆文=大宮高史

※画像は樋口日奈オフィシャルInstagram(higuchi_hina_official)より

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