――永瀬さんは、ご自身の出演作を客観的に観られないそうですが、今回は、かなり没入して作品を観られたんですね。
永瀬:そうですね。自分が出演していると、反省点が目についてしまって、物語として100%楽しんで観られなくて…。でも今回は、それを忘れて素直に観られたんです。それは僕としても初めてだったし、何より画がきれいで引きこまれました。
春奈と秋人の心情の切り取り方がすごく良くて、2人の想いが伝わってきましたね。相手を想う、まっすぐでピュアな気持ちが伝わってくる作品に完成していたので、すごくいい作品に出演できたなと改めて思いました。
三木:秋人は春奈に出会ったことで、生きる喜びを知って、彼女のために生きたいと生命力を取り戻していくキャラクターなんですよ。今、彼が何を考えているのか、秋人の心の内側が知りたくなるように永瀬くんはいい塩梅で演じてくれました。後半に向かって、ますます秋人の心情を出していくのが上手いなって思いましたね。
永瀬:気持ちを作るのは、早いほうかもしれないです。もちろん役に入り込もうとしますけど、結構、現場で感じたままの表情で、台詞の言い方をしていたのかなって。
三木:お芝居というか、セッションでした。余命を宣告されているという重い設定を背負ってはいるので、完全に設定を作り込むとどんどん重くなってしまう。
でも、出口さんと永瀬くんは、その瞬間、その瞬間、相手と向き合った時に出る表情だったり、感情だったりを大切にしてくれたんです。今回は、想い合う2人の眩しさを見せたかったので、その瞬間感じたものを大事にしようという話を最初に伝えて良かったです。
――本当にその瞬間、その瞬間の煌めきが眩しいほどに描かれている作品でしたが、お2人は、もしも余命1年と宣告されたら、残りの人生をどう過ごしたいですか。
永瀬:お世話になった人たちへのあいさつまわりをしたい。直接会って、「ありがとうございました」という感謝の想いを伝えたいですね。もちろん、友達や家族にも。
三木:どうすんだろうなぁ…。
永瀬:余命宣告されたら、死に際までやっぱりずっと映画を撮るんじゃないですか?
三木:うーん。余命1年だからね。1年で完成するものならいいんだけど、未完成で死んじゃったら、悔いは残るよね(笑)。
永瀬:確かにそうですね(笑)。
三木:自分の年齢でこの映画を観た時、親の立場をすごく考えたんですよね。自分が余命宣告されたら、あとは子供に何を残すかっていうことだけ考えるだろうな、と。それこそ秋人が春奈のために生きることで、余命を生き抜けたように、わりとシンプルに「あと1年で子供に何を残せるのかな」って考える気はしますけどね。
子供って言いましたけど、自分にとって、ある種、映画も子供みたいなもの。この後、生きる人たちのために、何を残せるかを考えると思います。
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