コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、触手を持つ転校生との不思議な出会いを描いた作品「触手転校生に目をつけられる話」をピックアップ。作者の眼亀さんが6月3日にX(旧:Twitter)で同作を投稿。そのツイートには6万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、眼亀さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
ある日、秋貝花仁助のクラスに転校生がやってきた。「水田夕子」と名乗る彼女は、髪の毛がタコの触手をした、いわゆる「亜人」と呼ばれる生物である。その巨大な触手に興味を持ったクラスメイトたちが次々と話しかけるが、彼女に対してセクハラ発言をした男子生徒の机を、触手によって握りつぶしてしまうという事件が起きた。
その後、一人でいることが多かった彼女だが、花仁助は消しゴムを拾ってくれたお礼を言うために、思い切って話しかける。呼びかけても返事がない彼女を見て、あることに気が付いたのだった。
「もしかして、その髪で耳が塞がってたりします?」
疲れてくると触手全体が垂れてきて耳を覆ってしまうので、話を聞くために手で持ち上げなければならず、その姿が威嚇しているように見えて恐れられてしまうのだった。
花仁助によってひとつの誤解が溶けた彼女は、ようやくクラスの女子と打ち解けることができた。そして昼休み、図書室にいた花仁助のもとに近づく水田夕子。
「さっきは誤解解いてくれてありがとう。秋貝花仁助くん」
顔を赤らめた彼女に名前で呼ばれたことで、花仁助はすっかり気が動転した。動転するどころか、彼女の無意識の特殊能力によって、花仁助自身もタコの姿になってしまった。
始業の鐘が鳴ったものの、元の姿に戻るまで倉庫裏に隠れることにした二人。しかし彼女にはまだ、意外な秘密が隠されているのだった――。
作品を読んだ読者からは、「こういうの大好きです。もっと書いてください」「絵も可愛いし続きが気になる!これは買いなのでは」といった声が多数上がっていた。
――「触手転校生に目をつけられる話」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
「ミズダコちゃんからは逃げられない!」の元々のきっかけは2022年2月に描いた1枚の落書きで、この漫画のヒロインの水田夕子(以降ミズダコちゃん)は名前が略すると「ミズダコ」となるダジャレから思いつきました。当時はこの子以外にもオリジナルのキャラクターのイラストをX(旧Twitter)に投稿しており、ミズダコちゃんもその一環でした。
漫画のストーリーは、触手で感情表現をしたり、ラブコメだとすぐに赤くなってしまう彼女が沢山見られると楽しそうという理由でこの話を思いつきました。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
彼女の触手は力むと机を壊すほどの筋力を持っていますが、疲れているとふにゃあと脱力して空気の抜けた浮き輪みたいになります。
そして緊張すると自分の足を左右の触手でニギニギしたり、照れると触手の先を手で掴んだりと様々な感情表現を触手で表す点がこだわった点であり、見て欲しいポイントです。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
気に入っているシーンは、セクハラをする中山の机をミズダコちゃんが壊すシーンとその次のページの威圧するミズダコちゃんのシーンです。漫画のストーリーを描くうえで、このシーンが真っ先に描きたいと思ったシーンでしたので描いていて楽しかったです。
一つ気がかりだったのが、この漫画を掲載している芳文社様といえば健全で爽やかな女の子漫画のイメージがあり「触手プレイ」と中山の存在は大丈夫なのだろうか?と懸念しておりましたが、無事杞憂に終わりました。
――本作では、ミズダコちゃんの個性的なキャラクターが「可愛すぎる」と話題を呼んでいますが、キャラクターのアイディアはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
漫画を描く以前、ミズダコちゃんのイラストを描いていた初期は何でこんなにこの子は好かれているのだろうかと内心疑問に思っていました。当初は、私自身この子の魅力に気付いていなかったのだと思います。
たまたま描いた絵が皆に好かれてしまい、ずっと一人置いてかれている感覚でした。
何度も描いているうちにこの子に愛着が湧き、私自身も好きになりました。
アイデアに関しては、人間は絵を描く上で指や関節、筋肉骨格何もかも難しい…でも触手なら関節も骨格も気にせず描けるからかなと、今では思います。
――今後の展望や目標をお教えください。
ミズダコちゃん以上のキャラは多分思いつかないので、今後漫画家としてはどうなるのかなと不安ばかりですが、とりあえず今はミズダコちゃんの恋路を最後まで見届けることだけを目標にして生きていこうと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
世に沢山面白い漫画が溢れている中、私の漫画を手に取り読んで下さりありがとうございます。
私の場合は、ずっと一人で漫画を描き続けて日々明け暮れていますが、それが世に出ることで感想を貰い初めて世間の評価を知ります。
連載が始まった時もそうですが、今回ミズダコちゃんの漫画が伸びたおかげで沢山の人の目に触れ反応を貰い、感想が視覚化されました。その多くが元気になれるコメントで、そうか「ミズダコちゃん」は面白かったのか…可愛かったのか…良かったのか…と再び実感できました。
今後もそう言ってもらえるような作品作りを心がけたいと思います。
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