――朗読時の空想のシーンなどもありましたが、撮影している時にはどんなものを思い浮かべているんですか?
私がって言うより、役の人がやっているっていう印象だからちょっと違うんですよね。片桐はいりとして、私がやるんだったらこうはやらないかもねと思いながらやっていたりとか。だからあんまり考えずに、とりあえず「大きな」って読むんだったら大きいものを想像するとか、そういう基本的なことを一生懸命やろうと思っています。
――複数名で朗読する“群読”が印象的ですが、合わせた時にはどんな気分になりましたか?
合唱している時みたいな気持ちですよ。歌をみんなで歌っているときに近い気持ちのよさというか。合唱の場合は、音程を合わせることや、ハーモニーを丁寧に奏でることを重要にしているけど、朗読では音がずれたり、その時のアドリブが毎回あったりして、ライブみたいな感じがあるので、それが面白いなって思いますね。
――全体の調和が合う時があるという感じでしょうか?
いや、ピチッと合わせるというよりは、面白い音がでないかな? っていうことを考えていますね。だから私の音だけをとったら日本語に聞こえないような音になっているのかもしれないなと思いながらやっています。それがいいのか悪いのかは知らないですが、ただ聞いたときに面白いといいなと思います。
――朗読教室のメンバーの中でも印象的な声の人はいますか?
みんながそれぞれ違うから面白いですね。皆さん基本は俳優さんじゃないですか。その個性が面白いから、朗読のクオリティーとしてどうなのかは分からないけれど、それぞれの間の取り方にすごくドラマがあるなと思います。
――役作りのように、声を作り込むことはしていないんですか?
今回思ったのは、朗読とか声ってうそをつけないんだなってことで。それが難しいんですよね。朗読の表現って、読み方なり、声の出し方でその人の素が分かりやすく出やすいと思うんです。質問したり、芝居の表情を見たりするよりも、多分朗読する声を聞くだけで、その人のことがいろいろ出ちゃう気がするんですよ。
だから逆に、私が役をこねくり回して人格を作ったりしても、その役に声でつじつまを合わせていくのってすごい難しいと思います。
――演じている俳優さん自身の内面が出てしまうということでしょうか?
そうですね。だから、私とは“真逆の生き方をしてきた人”っていう設定で役を作り上げたとしても、朗読をしたらもうバレちゃうと思うんですね。まぁ、基本どんなお芝居でも内面は出ちゃうんですよ。人間は1人なんだし(笑)。
その中でも朗読っていう、人の書いたものを読むシンプルな表現では、その人が自分で書いたものを自分で語るよりもいろいろと出ちゃう気がします。
今みたいに、私が一生懸命自分のことを説明しようとしてお話しているけど、こういうことをするよりも、ちょっと握手したり、なにか1つ動きがあったほうが全体像が分かることってないですか? インタビューする方は会話の内容で全部分からないといけないから大変だと思いますけど(笑)。
でも相手が本当のことを言ってるって思わない時もいっぱいあるでしょ? そういう部分が全部分かっちゃうのが朗読なのかな。だから怖いなと思うし、難しいなと思います。
だからいろんな人でやってみたらいいんじゃないでしょうか? 声に出して本を読むって誰でも1人でもできるじゃないですか。
例えば告白をするような文章を、ちょっと読んでみてって誰かにお願いしたら「あ、この人はこんな人なんだ」って分かるような気がしますよ。本当はこんなこと思ってないんだなとかも含めて。そういう部分が面白いなと思って。朗読に興味を持つ人がこのドラマを見て増えたら楽しいなと思いますね。
――最後に、今回のドラマの見どころを教えてください。
やっぱり朗読や群読のシーンが面白く仕上がっていると嬉しいですね。あとは、竹野内(豊)さんのさえなさ具合と、麻生(久美子)さんとのかわいいやりとりに萌えて下さい(笑)。
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