コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、清水幸詩郎さんが描く『タコで、ごめんね。』をピックアップ。
2024年5月23日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、清水幸詩郎さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
地球では、人口が増えすぎた地上に見切りをつけた人間が“先祖返り”するという現象が起きている。“先祖返り”とは、魚になって海に帰っていくこと。世の研究者たちは、この不思議な現象の謎を解明するため、日夜研究を続けている。そして、“先祖返り”をした人は研究対象として施設に保護されるらしい。中には拒否して、海へ逃げていく者もいるようだ。
主人公は、そんな世の中の動きを“そんな事もあるもんだ”と他人事のように考えていた。しかしある朝、歯磨きのために鏡の前に立つと“タコ”になりかけた自分が映っていた。タコへの“先祖返り”はとても珍しい症例のようで、戸惑う自分とは裏腹に、受診した医者からも“魚おたく”の親友からもテンション高めに観察されてしまう…。
高校を卒業したら大学へ行って、就職して…当たり前に普通の人生を歩んでいくと思っていた主人公だったが、気持ちの整理もつかぬまま症状は急速に進んでいく。「俺はどうなってしまうのだろう」どうにか抑制薬で症状は抑えられたが、時間の問題だ。いずれ完全なタコになってしまうだろう。不安で押しつぶされそうな主人公だったが、ずっと親友が側にいてくれたおかげで心が折れずにいられた。
色々と考えた結果、主人公は完全なタコになる前に施設へ行くことを決める。出発の日、家族には平静を装っていた主人公だったが、親友が見送りにやってきたことで涙を流して感情を溢れさせた。親友は「俺は天才博士になる男だ!研究者になってお前の側に一生いてやる」と伝えた。小さな頃からいつも主人公の側にいてくれた親友。今後、どんな姿になっても、どこにいても、2人の友情はずっと続いていく――。
――『タコで、ごめんね。』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
タコの男の子のお話を描きたいなという所から描き始めました。
最初は人魚にしようかなとも思っていたのですが、髪がタコの足になっている男の子を描いたらかわいかったのでタコになりました。
――作中で、特にお気に入りのシーンやセリフを理由とあわせてお教えください。
タコがタコつぼに詰まっているような感じでトイレに詰まっている触手を描きたかったのでそのシーンと、「お前の側に一生いてやるからな」というセリフです。
――「人間が地上に見切りをつけて海にかえるのは道理」という言葉がありましたが、“先祖返り”してしまう人の条件(要因や傾向など)はあるのでしょうか?
「当たり前に人魚がいる世界」を想像した時に、どうしたら当たり前な世界観になるかを考えてその設定にしました。
地上に人が増えすぎて、そのうち海面が上昇し陸地がなくなるであろうという事を生存本能が察知して、海に還ろうとしているので、海に呼ばれた人には誰にでもおこる事と思っています。
――完全に“先祖返り”してしまうと、見た目だけでなく言葉を話せなくなったり、人間の頃の記憶がなくなってしまったりなどの変化はあるのでしょうか?
どうなってしまうのかという事は、わからない方が怖いかなと思い詳細には描きませんでした。
人間である事がそんなに幸せな事なのだろうかという疑念があるので、ひょっとしたらお魚になった方が幸せな人もいるかも知れないぞという思いもありました。
――X(旧Twitter)投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていらっしゃいますか。
普段商業で漫画を描かせていただいているのですが、個人的に趣味で描いた漫画がたくさんの方に見ていただけてとても嬉しいです。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
こうした数人の友人に喜んでもらえればいいという気持ちで描かせていただいた超個人的な漫画に注目していただけて大変ありがたいです。
これからもこんな感じの漫画を描いてSNSにアップしていくので、フォローしていただけたら嬉しいです。
お仕事も募集中です。よかったらお仕事下さい。よろしくお願いいたします。
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