シリアスからコメディーまでどんな作品もこなし、長年にわたって多くの作品に色を添えてきた“エンケン”こと俳優・遠藤憲一が6月28日に63歳の誕生日を迎えた。さまざまな現場を経験して培った確かな演技力を武器にほぼ毎クールいろんな作品に出演し、今や日本のテレビ・映画界には欠かせない存在となっている遠藤のこれまでのキャリアを振り返ってみよう。
遠藤が本格的に俳優として始動したのは1983年。同年4月から10月にかけて放送されたNHKのドラマ「壬生の恋歌」でテレビドラマデビューを果たした。新選組の若い隊士と京都の女たちとの恋を情感豊かに描く娯楽時代劇で、遠藤同様、渡辺謙もこの作品がドラマ初レギュラーだった。10月から翌1984年1月まで放送された石黒賢・二谷友里恵主演のドラマ「青が散る」にも出演した。
キャリアの初期から悪役が多かった遠藤は、「太陽にほえろ!」「特捜最前線」「あぶない刑事」といった人気刑事ドラマや時代劇にも犯人役や悪役として多く出演。「太陽にほえろ!」には2回出演しており、最終回での犯人も演じている。
その強面とドスのきいた低音ボイスが印象的で、作品と役どころの幅も広がっていき、名バイプレイヤーとしての地位を確立。そんな遠藤が連続ドラマ初主演を務めたのが2009年の「湯けむりスナイパー」(テレ東系)だった。血生臭い世界から足を洗った元“殺し屋”が、人生をやり直したいと思い、秘境の温泉宿の従業員募集の広告を見つけ、リストラされた中年男の仮面を被り、本名と年齢不詳の“源さん”として新しい生活を始めるという物語。ギラギラし過ぎず、いい感じに力の抜けた演技がハマり、2010年1月、2012年1月にはお正月スペシャルも放送された。
「湯けむりスナイパー」同様、遠藤のイメージを変えたのが2009年放送の「白い春」(フジテレビ系)だった。阿部寛と大橋のぞみが演じる父娘の親子愛を描いたドラマで、遠藤演じる村上康史の優しい部分だったり、これまでの役とのギャップが印象的で、回が進むにつれて遠藤の演技への注目度も高まっていった。
そういった強面とのギャップを生かした役も増えていき、2016年に放送された「お義父さんと呼ばせて」(フジテレビ系)も代表作の一つとなった。この作品は、遠藤演じる51歳の独身会社員が28歳年下の彼女(蓮佛美沙子)と結婚するために、同い年の“お義父さん(渡部篤郎)”とコミカルにバトルを展開するというもの。渡部とのW主演で、遠藤にとってはゴールデン・プライム帯での連ドラ初主演作となった。
W主演作品といえば、菅田将暉との「民王」(2015年ほか、テレビ朝日系)。この作品の遠藤の演技も印象的だった。総理大臣・武藤泰山が息子・翔(菅田)と入れ替わるという物語。性格の全く違う親子なので、入れ替わった時の演技の振り切った感じが面白く、遠藤と菅田だから演じられた親子だと見終わった時に感じた。
振り切ったというか、個性的なキャラを演じたドラマといえば「私のおじさん~WATAOJI~」(2019年、テレビ朝日系)もそう。演じた役は、なんと“妖精のおじさん”。ファンタジックな妖精の姿をしたキャラではなく、見た目は遠藤のままでいかつい強面。しかし、自ら“妖精のおじさん”と名乗り、主人公の一ノ瀬ひかり(岡田結実)に歯に衣着せぬ毒舌を吐く。ひかり以外には“おじさん”の姿は見えていない。岡田とのコンビが見ていて楽しい作品だ。
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