長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は前回に続き『30日間ずっとKiss ~君とキスしていたい~』(テレ東系)をチョイス。
先週に引き続き、とにかく続きが気になったので鑑賞した第2話目。相変わらず男女がキスをしまくっていて、こう続けざまにキスを目の当たりにすることは普通なく、先週もそう書いたとおり、キスというのは実直なコミュニケーションのフィナーレであることから、たとえ恋愛映画でだって、こうもキスを連打することは少ない。キスは大団円であるからだ。ただ唇と唇を触れ合わせるだけの行為にどうしてそこまでの力があるのか……引き続き考えていくことにしよう。
さて、初回では初対面ということもあり多少のぎこちなさを見せた彼らだが、今回はそれなりに打ち解けているように見える。とはいえ、キスというスタートダッシュを経て、さらにこれからもキスを重ねますという誓約のもとに集まっている彼らのコミュニケーションには、多少の解氷が見られようとも、依然として言いようのない空気感が漂っている。正当に(?)段階を踏んで解除されたキスであるならば、それを鑑賞する第三者として、その艶やかな空気に納得をすることもできようが、その段階をすっ飛ばしてしまった彼らは、その空気感に自らも困惑しているような素振りまで見せる。特に、自らとは真逆のタイプであるセイヤとキスを重ねるミレイは、最初こそ思わず顔をそらしてしまうような反応を見せていたものの、だんだんと緊張も解けていき、ついにはハイタッチとして差し出されたセイヤの手をぎゅっと握るという行動に出る。なんでそうしたのか自分でも分からないという彼女のその行動が、キスという行為によって起因していることは間違いないだろう。キスというものには、人と人との絆を増強させる効果があると、一旦は結論付けていいだろう。キスの、増強剤、もしくは促進剤としての効果が最も表れているように思えるふたりの今後の展開から、目が離せない。
また、恋愛にピュアな憧れを持つサキと、前の恋人からの裏切りに遭い恋愛に踏み込めなくなっているサトシのふたりも要注目だ。サトシは自身が恋愛で負った傷を打ち明け、サキは初回のサトシとのキスが自身のファーストキスであったと打ち明ける。サキに恋愛感情を持っていないと語っていたサトシは、サキのまっすぐな愛情に、徐々に信頼を寄せ始める。
そして何より、サヤカとルイのふたりの関係が見逃せない。初回からキスに積極的な様子を見せたサヤカは、ルイとの相性の良さを感じたと語っていたものの、キスを重ねるうちにルイのとある部分が目につき、なんだか冷めてしまったと語る。完璧主義者であるサヤカは、恋人にも完璧であってほしいのだ。思ったことをストレートに指摘するサヤカ、そしてその指摘にたじろぐルイの姿は、やはり一筋縄にはいかないコミュニケーションの”魔”を感じさせる恐ろしい場面である。
非常に先が気になる番組。この連載で紹介するのは恐らくこれが最後になるとは思うが、こういった番組の良いところは、見た人同士でやいのやいのと野次を飛ばせるところ。少しでも興味のある方は是非ご覧になって、私と一緒に野次を飛ばそう。それもひとつのコミュニケーションなのだ。
あと、これは余談なのだが、格闘家であるセイヤが、ミレイが自分の試合を見に来てくれると決まった際の心情を、「自分が一番輝いている場所だから嬉しい」という風に語るのだが、それが素晴らしいなあと思った。自分自身が輝ける場所、そして、自信をもってそう自覚できる場所。勝っても負けても、リングの上ではみな輝いている。そう自覚しながら努力を積んでいるセイヤの姿を見ると、なんだかじーんと感動してしまったのであった。
■文/城戸
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