本作の最大の魅力は、きょうだい5人の心ゆさぶる人間ドラマだ。少年の頃から弟妹たちの面倒を見てきた優しく努力家の一成(バイ・ユー)に、落ちこぼれ気味でけんかっ早い二強(ジャン・ワンイー)、一成を尊敬するまじめで堅実な三麗(マオ・シャオトン)、奔放で危なっかしい四美(ラレイナ・ソン)、そして気弱な末っ子・七七(ジョウ・イーラン)。幼い5人が貧しい暮らしの中、お湯に醤油をたらしただけのスープを飲み、1羽しかいない鶏の卵を売って稼ごうとしたりしながら肩を寄せ合って生きていく姿が涙を誘う。
そんな彼らが成長し、進学や就職がうまくいかず悩んだり、ほろ苦い恋愛を経験したり…人生のステージを一つ一つ進んでいくのだから、感情移入せずにいられない。
本作を手掛けたのは、“中国のエミー賞”こと「國劇盛典」で最多10冠を達成した宮廷復讐劇「琅琊榜(ろうやぼう)~麒麟の才子、風雲起こす~」(2015年)や累計再生回数69.6億回の家族ドラマ「それでも、家族~All is Well~」(2019年)など、ヒット作を次々と生み出してきた制作会社・東陽正午陽光影視有限公司。
心揺さぶる人間ドラマを得意とするヒットメーカースタジオが、安定感あるプロットとリアルを追求した美術で作り上げた世界観を背景に、貧しさに負けず逞しく生きる5人のきょうだいそれぞれの夢や希望、悩み、恋愛模様を丁寧に描いていく。
5人のきょうだいを演じるキャストを中心とした、実力派俳優陣の共演も魅力だ。ドラマを引っ張るのは、成長した長男・一成を演じるバイ・ユー。少年時代から必死に弟妹たちを食べさせてきた一成は、苦労の絶えない環境にもかかわらず優秀な成績で大学に進学し、テレビ局への就職まで果たす。一方で、結婚を考えた女性との別れを経験し、涙を流す場面も…。動画再生回数36億回超えのヒット作「鎮魂」(2018年)ではチュー・イーロンとのブロマンス演技で話題を呼んだバイ・ユーが、本作ではイメージを刷新。優しくけなげな一成役で多くの視聴者に愛され、「2021国劇盛典」年度優秀演員を受賞した。
きょうだいたちにも注目のキャストがそろっている。けんかっ早い次男・二強役のジャン・ワンイーは、本作の演技で「第32回華鼎賞」最優秀男優賞に輝いた。また、長女・三麗役には「30女の思うこと~上海女子物語~」(2020年)のメインキャストを務めて注目を集めたマオ・シャオトン。次女・四美役には、総製作費83億円の超大作時代劇「九州縹緲録~宿命を継ぐ者~」(2019年)でヒロインに抜擢されたラレイナ・ソン。そして三男・七七役には、そのイケメンぶりからSNSで話題を呼び「初恋王宮~お妃さまと呼ばないで」(2020年)で王の侍衛役を演じたジョウ・イーランと、経験豊かな若手俳優陣が集結。それぞれ、互いに衝突したり、人知れず恋に悩んだり、見ている側も思わず一緒に一喜一憂してしまうような個性豊かなキャラクターを好演し、ストーリーへの没入感を高めている。
5人の若者が悩みながら必死に生きていく姿を描いた本作は、クチコミで人気が爆発的に上昇。1日あたりの再生回数1.4億回という沸騰ぶりで、配信終了時の総再生回数は25億回超えを記録。中国SNS・Weibo(微博)でも大きな話題となり、Weiboによる年間アワード「2021微博之夜」で“最も人に勧めたいドラマ賞”を受賞した。視聴した誰もが周囲に勧めたくなるほどの感動と希望が詰まった注目作「それでも僕らは~チャオ家の軌跡~」は、衛星劇場にて7月7日(日)から放送スタートする。丁寧に作り上げられた壮大な家族の物語をじっくり味わいたい。
◆文=酒寄美智子
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