コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、心に闇を抱えた新米教師と、不登校女子高生のやりとりを描いた作品「学校に行けなくなった教師が不登校の生徒に慰められる話」をピックアップ。
作者の星川ちづるさんが5月28日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには2.1万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、星川ちづるさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
やっとの思いで憧れの高校教師になった主人公だったが、教師という職は思った以上に過酷だった。心が疲れてしまった先生は、休職中にゲームセンターに入り浸っていた。
ある日のAM10:30。同じ学校で不登校になっている生徒、木原にゲームセンターで「病んで休職中なんだって?」と声を掛けられる。
一緒にゲームをやりながら「学校ではもっとハイテンションだった」と指摘され、空回りしていた教師としての自分を思い出して現実から目をそむけたくなる先生だったが、木原からは「でも誰かと一生懸命に向き合えるのは…すごいことだと思うよ」と励まされる。
木原自身も頬に怪我を負っているところから、何らかの事情があるようだった。
さらに別れ際、木原から「先生が教壇に戻ろうと戻るまいと、どっちでもいいと思うよ。だって、どの人生を選ぶかなんてそんな難しいこと、絶対考える時間が必要だもん。だから、今の時間はなんにも無駄じゃないと思うよ」と言葉をかけられた先生は、"今のままじゃきっと後悔する”と思いなおし、「もう少しだけ頑張ってみようか」と夕日に誓うのだった。
「もう、ゲーセンには行かない」と互いに約束した2人だったが、翌日のAM10:30。スーツに身を包んだ先生と、頭と腕に包帯を巻いた木原は、またしてもゲームセンターで顔を合わせたのだった。
作品を読んだ読者からは、「絵も、キャラも、構図も、背景も、何もかも最高過ぎて堕とされました…」「最後、スーツに着替えてて先生偉い!」「なんかほっこりしました」などの声が上がっていた。
――「学校に行けなくなった教師が不登校の生徒に慰められる話」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私は高校を中退していてやめたばかりの頃、社会に順応できなかったという劣等感でいっぱいでした。
その後漫画を描くようになり、漫画の中に今まで経験した私の葛藤を盛り込んでいくようになりました。
この話は高校中退後の何もできずただ時間だけが過ぎていく、未来に対する不安や焦燥感があるのに、何処に向かえばいいかわからない自分との折り合いを付けている中で生まれたものです。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
こだわったのは不登校の生徒「木原」のキャラクターです。
モデルは私の友人で、一見毒舌のように見えて本当はとても心の優しい子でした。私はその子の優しさに救われていました。
その子は「木原」と違って学校に通っていたけど、その子と話しているときは学校の閉そく感やしがらみを忘れさせてくれるような不思議な雰囲気の子で大好きでした。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
「どの人生を選ぶかなんてそんな難しい事、絶対考える時間が必要だもん。だから今の時間はなんにも無駄じゃないとおもうよ」
過去の自分に向けて言った言葉で、私と似た境遇の方の気持ちが少しでも楽になってくれればという思いも込めています。
――普段作品のアイディアは、どのようなところから着想を得ていますか。また、実際に漫画を描くうえで大切にしていることはありますか?
実体験や、今まで見聞きしてきたこと全てから着想を得ています。
漫画を描くうえで逃げない事だけは心がけています。私は学校をやめたり逃げることが多くて、後から後悔しました。
運よく「漫画を描く」ということに会えたので、せめて自分の好きなことからは逃げずに真面目に向き合いたいと思っています。
――今後の展望や目標をお教えください。
読者の方が元気や勇気を持って明日に向かっていけるような、そんな作品を生み出せるようになりたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも読んでくださりありがとうございます。
私は誰かに向けて偉そうなことを言える立場ではありませんが、私の描くもののどこか一部でも皆様の救いや励みになるものがあれば幸いです。
これからも一層努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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