コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、きたしまさんが描く『連続テレビ小説「インプレゾンビの初恋」』をピックアップ。
2024年6月7日にX(旧Twitter)で第1話を投稿したところ、6.9万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、きたしまさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
主人公は、売れないイラストレーターの“ぽん太大明神”。ある日、X(旧Twitter)で投稿を続けていたオリジナルキャラクターが万バズしたことから物語が始まる。バズりは“いいね”数だけに留まらず、コメントもたくさん寄せられた。しかし、コメントはアラビア語や変な日本語、謎の絵文字が羅列されたものなども目立つ。いわゆる“インプレゾンビ”たちが集まってきたのだ。
インプレゾンビとは、X(旧Twitter)などのSNSでポストの表示数を稼ぎたいためのアカウントのこと。インプレゾンビがバズったポストのリプライやトレンドのタイムラインに集まり、コピペや絵文字などの投稿を行うことで、他のアカウントのリプライや投稿が埋もれてしまうため、ユーザーからは邪魔者扱いされている存在だ。そのため、インプレゾンビを見つけたらブロックやミュートをする人もいる。ぽん太も、自分の投稿に群がるインプレゾンビを嫌がり、片っ端から削除・ミュート・即ブロックを繰り返した。
しかし、その中から1つのアカウントに目が留まる。“SISHA”という名前のアカウントは、ぽん太のイラストのほぼ全てにコメントを残していたのだ。しかし、インプレゾンビに多いアラビア語でのコメントだったため、“SISHA”も同様だと思い込んでいた。ところがある日、ぽん太が投稿したイラストに“SISHA”から長文のコメントが届き、ほんの出来心で翻訳してみることに…。すると、そこには応援メッセージと共に「助けて」の言葉が残されていた。
そこから作品は、“SISHA”の中の人であるシーシャの置かれている状況が描かれ始める。そして、シーシャから「助けて」というメッセージしか受け取っていないぽん太が、僅かな情報から彼女の住む地域を突き止めて、勢いに任せて動き出すのだった――。
本作の投稿へは、「これは楽しみな展開……!」と続きを楽しみにする読者からのコメントが続出し、「幸せにしてあげて」などシーシャが救われることを願う人からの声も多数寄せられた。尚、本作もバズったことにより、抜かりなくインプレゾンビが集まっていた。
――『連続テレビ小説「インプレゾンビの初恋」』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
今年2月ごろ、まったく別のイラストを描いてXにアップしたのですが、それが何かの拍子にバズりました。(参考:https://x.com/kazkitashima/status/1753038853701771476)
すると、コメント欄にインプレゾンビたちが!うわさに聞いてはいたので、「ホンモノだー!」ってちょっと感動しつつ、コメント欄を荒らして迷惑がかかるケースもあるっていう話を聞いてたんで、コツコツとミュートしたり報告したりしていました。すると中には、インプレゾンビなのか普通の海外からのコメントなのか、きわどいものもありました。そのときに、「もし、これが純粋にイラストを楽しんでる人だったらどうしよう…?」と怖くなりました。そこから妄想をマックスまで膨らませたのが、この漫画です。
――本作を描く上で、特に心がけているところ、力を入れているポイントなどをお教えください。
シーシャの表情です。ぽん太は5秒くらいで描き終えるんですが、シーシャはその100倍の時間をかけて、魅力的な表情になるように試行錯誤してます。言葉にはしていなくても、いろんなニュアンスを、表情で語ってもらいたいと念を込めています。
――主人公がインプレゾンビに埋もれていたシーシャのコメントを翻訳したことがきっかけで、物語は進んでいきます。きたしまさんもインプレゾンビと思われる人からのコメントを翻訳してみたご経験はありますか?
あります。シーシャみたいな人がいるかもしれないので、いくつか翻訳したり、プロフィールにも飛んでみたりしましたが、全員、きっちりインプレゾンビでした。
――X(旧Twitter)の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていらっしゃいますか。
嫌われ者のインプレゾンビを題材にした漫画だったので、批判も覚悟してたんですが、、、意外なことに、そういったコメントはほとんどなかったのが印象的でした。
「こうだったらいいのにな」「こんな子だったら助けてあげて」とみんなノッてくれていて、最近何かとギスギスしている印象のXですが、みんなやっぱり楽しいことやワクワクすることが好きなんだな、と勝手に受け止めてます。
――今後の展望・目標をお教えください。
この物語に関しては、ハッピーであれビターであれ、何かしらのエンディングを迎えるまで、応援してもらえたら嬉しいです。
また、こういった現実をベースにした妄想漫画をつくるのが好きなので、他にもこういった反響が得られる漫画をつくっていきたいと思っています。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
僕の漫画を、時間を割いて読んでいただきありがとうございます。反応を時差なくいただけるのが、とても新鮮で嬉しいので、今後も、一言でもいいので賛でも否でもコメントいただけるとやる気になります。インプレゾンビのみなさんも、僕の所に限り許しますので、どしどしお越しください。
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