<響け! ユーフォニアム3>9年間の集大成 すべてを包み込むフィナーレに、SNSでは拍手喝采の嵐

2024/07/06 14:04 配信

アニメ レビュー

3年間の思い出のすべてが詰まった圧巻の演奏シーン


課題曲「スケルツァンド」の演奏を終え、いよいよ自由曲「一年の詩〜吹奏楽のための」が始まる。春夏秋冬の4パートで構成されるこの曲は春からスタートし、入学式や新歓、サンフェス、あがた祭り、合宿などが次々とフラッシュバック。その後はトランペットとユーフォニアムのソリが印象的な秋パートへと移っていく。麗奈と真由が奏でる抜群のソリに合わせて、オーディションを巡る騒動やさまざまなトラブルが追憶されると、やがて季節は冬へ。卒業していった先輩たちとの別れにしんみりしたあと、季節は再び春へと巡って、次代を担う1年生と2年生を映しフィナーレへ。演奏直後、「出し切った」と言わんばかりに満足気な表情を浮かべる部員たちだった。

自由曲の約6分間に及ぶ演奏シーンは、久美子たちの3年間の思い出が次々とフラッシュバックする仕掛けで、最終楽章だからこそできる演出だ。久美子たちにとっては高校3年間の思い出だが、視聴者にとっては9年間にも及ぶ軌跡であり、それらが一気に脳裏へと蘇ってくる感覚は、ほかの作品ではなかなか味わえないカタルシスを体験させてくれる。とくに秋パートでソリを吹く真由と、それを隣で聴いている久美子の構図はまさに第一期十三回「さよならコンクール」での麗奈と中世古香織(CV:茅原実里)を見ているようで、こちらも胸が締め付けられる思いだ。オーディション時は部長として前を向いた久美子ではあるが、この瞬間だけはやはり心の奥底に様々な思いをにじませた複雑な表情をしており、これがたまらなくリアルで素晴らしい。ともかくも、音楽、アニメーション、ドラマのすべてが詰まった珠玉の6分間で、SNSでも「最高の舞台で最高の演奏!!」「涙で画面が見えません」など、感動の声があがっていた。

最高のフィナーレに、SNSでも感動と感謝の声が溢れる

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十三回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024


全国大会という大舞台で、すべてを出し切った北宇治高校吹奏楽部。結果発表を前に、部長としてステージに立っている久美子は、結果がどうであれ「もう何も悔いはない」と心の中でつぶやく。そして結果は見事にゴールド金賞 を手にすることとなった。部員みんなが歓喜に沸き立つなか、麗奈もまた嬉し涙を流す。中学生時代、ダメ金を取って何も感じていなかった久美子の隣で、「悔しくって、死にそう」と泣き腫らす麗奈を意識したことから幕が開けたこの物語は、それから3年後、今度は「嬉しくて、死にそう」と泣く麗奈で幕を降ろした。

改めて、なんという作品だったのだろうか。「青春アニメの最高峰」や「吹奏楽アニメの金字塔」といった表現では追いつかないことだけは分かる。先輩たちから久美子たちへ受け継がれ、そしてまた後輩たちへと繋がっていく壮大な物語は、まさに「つながるメロディ」というタイトルに見事に集約されている。最高のエンディングを迎えた今回のエピソードには、SNSでも「最高の最終回でした」「ユーフォに出会えてよかった。 心からありがとう」など、惜しみない賞賛の声が数多く寄せられていた。これからも折に触れて何度でも噛み締めたい、そんな作品になったように思う。

■文/岡本大介

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十三回よりⒸ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024