橋本環奈、2次元と3次元のギャップを埋める演技力「キングダム」シリーズで見る“国民的女優”たるゆえん

2024/07/09 11:10 配信

映画 コラム

橋本環奈※2023年ザテレビジョン撮影

2013年にアイドルイベントで踊っている写真が「奇跡の一枚」としてSNSなどで急速に拡散され、“1000年に1人の逸材”として世間に見つかってから早10年強、現在は映画、ドラマ、舞台、CM、バラエティー、雑誌と、俳優・モデルとしてさまざまな分野で活躍している橋本環奈。10月からスタートする連続テレビ小説「おむすび」(毎週月~金曜、NHK総合ほか)では主演を務めることが決まっており、名実共に国民的女優となっている。そんな橋本の魅力は、かれんなルックスはもちろんなのだが、それすらも凌駕する演技力。今回はそんな役者・橋本のすごさについて紹介する。

コメディーの鬼才によって磨かれた演技力


彼女の演技力が花開いたのはやはり福田雄一監督との出会いによるところが大きいだろう。福田監督といえば、ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ(2011年ほか、テレビ東京系)やドラマ「今日から俺は!!」(2018年、日本テレビ系)、映画「銀魂」シリーズ(2017、2018年)、映画「斉木楠雄のΨ難」(2017年)など、唯一無二の作風で「コメディーの鬼才」と称される人物。橋本は「今日から俺は!!」や「銀魂」などの福田作品にいくつか出演して、アイドルの殻を破ったコミカルな芝居や変顔などに果敢に挑戦し、演技への熱意を表面化させた。

そんなシリアスからコミカルに至るまで幅広い演技経験を血肉に変えて培った演技力は、“1000年に1人”のルックスをも凌駕するまでに。舞台「千と千尋の神隠しSpirited Away」で特別なかわいらしさは邪魔になる普通の少女・千尋を演じるだけでなく、映画「キングダム」シリーズ(2022年~)では、山民族の末裔であり少年か少女か性別が分かりづらいという設定の河了貂を演じている。

同作は2019年公開の第1作「キングダム」を皮切りに、2022年公開の「キングダム2 遥かなる大地へ」、2023年公開の「キングダム 運命の炎」と2000年以降シリーズ化された邦画実写作品で、1作目から3作連続で50億超えという史上初の偉業を達成。シリーズ累計動員数では1000万人を超え、数々の映画賞を獲得している。

橋本環奈※2023年ザテレビジョン撮影

“少年っぽさ”を表現


春秋戦国時代を舞台にしているため絵面が屈強な男だらけで目立ちやすいにもかかわらず、橋本演じる河了貂はなぜか世界観になじんでいる。よくよく見てみると、橋本はぶっきらぼうな口調で粗野な少年っぽい話し方を徹底しているほか、歩き方も男性的な歩き方で女性性を消している。つまり、頭の先からつま先、そして性格に至るまで、全てにおいて少年っぽさを損なわないように演じることで、男性・女性どちらにも見える絶妙な存在感を作り出しているのだ。特に、山崎賢人演じる主人公・信との掛け合いでは、丁々発止のやりとりで男友達のような雰囲気を醸成。死線を超えた友として関係性を構築している。こうして2次元と3次元のギャップを埋めてくれる演技力こそ、国民的女優の実力と言える。

なお、7月12日(金)のシリーズ最新作「キングダム 大将軍の帰還」の公開に合わせて、Leminoでは第1作、第2作が見放題配信中。迫力の歴史スペクタクルや山崎の圧巻のアクションもいいが、橋本のずば抜けた演技力も堪能してほしいところだ。

25歳のバースデーの記念として企画された3rd写真集の取材では、「新しいことには何でも挑戦したい性格なので、やったことのない役柄とか、皆さんに飽きられないように自分も見つけられていない新しい一面を見せていけたらいいなって思います」と今後の目標を語っていた橋本。これからもさまざまな場面で“国民的女優”の実力が発揮されることだろう。

◆文=原田健

※山崎賢人の「崎」はタツサキが正式表記

橋本環奈※2024年ザテレビジョン撮影

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