永瀬正敏、佐藤浩市からのデートの誘いを回顧「あんなに緊張するデートは初めて」

2024/07/09 16:07 配信

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ジャパンプレミアに登壇した石井岳龍監督、浅野忠信、永瀬正敏、白本彩奈、佐藤浩市(写真左から)(C)2024 The Box Man Film Partners

8月23日(金)に公開される映画「箱男」のジャパンプレミアが7月8日に都内で実施され、永瀬正敏浅野忠信白本彩奈佐藤浩市、石井岳龍監督が出席した。

撮影中断から27年…待望の映画公開


本作の原作者は、「砂の女」「壁」などその著作が世界二十数カ国に翻訳され、今なお世界中に熱狂的な読者を持つ安部公房氏。生前は「ノーベル文学賞」に最も近いとされ、日本が世界に誇る小説家の一人だ。

「箱男」は、安部氏が1973年に発表した小説であり、代表作の一つ。その幻惑的な手法と難解な内容のため、映像化が困難と言われていた。そんな作品を作り上げたのは、「狂い咲きサンダーロード」(1980年)で衝撃的なデビューを飾って以来、数々の話題作を手掛けてきた鬼才・石井監督(当時は石井聰亙)。安部氏の「娯楽にしてくれ」という要望のもと、1997年に製作が決定し、撮影のためドイツ・ハンブルグに渡るもクランク・イン前日に突如頓挫。クルーやキャストは失意のまま帰国することとなった。あれから27年。奇しくも安部公房生誕100年にあたる2024年、映画化を諦めなかった石井監督は遂に「箱男」を現実のものとした。主演には27年前と同じ永瀬、同じく出演予定だった佐藤も参加する他、浅野、数百人のオーディションから抜てきされた白本らが出演している。

映画「箱男」より(C)2024 The Box Man Film Partners


永瀬正敏「ここまでに27年かかりました。本当にうれしい」


撮影開始前日に頓挫するという悲劇に見舞われ、27年がたって主人公の“わたし”を演じた永瀬は「ここまでに27年かかりました。今日は本当にうれしいです」と完成に感無量。石井監督も「まるで夢のよう。まだ私が箱の中に入っていて夢を見ているようです」と、満席の観客を前に痺れていた。

永瀬は27年前当時を回想して「経験したくないことが起きた。明日クランクインで、まずはスチール撮影をしようとみんなでロビーに集まっていたら石井監督がプロデューサーに呼ばれて。しばらくして監督が一人でホテルの外を歩いて行く後ろ姿を偶然見た。あれ?と思ったらプロデューサーから『この映画を中止にします』と。あの時の監督の後ろ姿は一生忘れないだろうと思った」とドイツ・ハンブルグでの衝撃的な一コマを打ち明けた。

永瀬は役作りについて「前回と同じように、撮影前に箱に入らせてもらった」と箱男化したそうで、「でも、今は猫という相棒がいてくれたので前とは違いました。相棒が箱に興味を持ってくれて一緒に入ってくれたりして。彼(猫)も箱が気に入ったようです」と、相棒との共同作業にうれしそうだった。

永瀬正敏が佐藤浩市との緊張のデートを振り返る


箱男殺害の完全犯罪を目論む軍医を演じた佐藤も、当時を経験した一人。「白夜の季節で21時22時でも明るい中で、冷たくないビールを飲みながらドイツを感じていました」と回想。

すると、永瀬は「浩市さんから『永瀬、デートしよう』と言われて。あんなに緊張するデートは初めて」と笑わせつつ「浩市さんから『お前はどうするんだ?』と言われたときに『俺は石井さんと「箱男」をやりたい』と答えたら、浩市さんはニヤッと笑われて『分かった』と。そこで俳優同士での意思の疎通ができてうれしかった」と思い返した。

当時、佐藤はその言葉に「うれしくもあり切なくもあり」というセンチな感情を抱いたという。

ジャパンプレミアでの佐藤浩市(C)2024 The Box Man Film Partners