<逃げ上手の若君>「作画の本気度が凄まじい」美麗かつ迫力のある映像に感動の声 “生き延びる才能”をもつ主人公が動乱の世を駆け抜ける…

2024/07/11 18:39 配信

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時行の“生き延びる才能”が開花した瞬間


そんな時行に手を差し伸べたのは、信濃国の神官・諏訪頼重(CV:中村悠一)。高氏が謀反を起こす少し前、頼重は娘の雫(CV:矢野妃菜喜)とともに時行のもとに現れた。印象的なのは、その癖が強すぎるキャラクターだ。神力を操り、未来を見通すことができるというが、肝心の内容は曖昧で、どこか胡散臭い頼重を中村悠一がコミカルに熱演した。

一方で、時行に「二年後、十歳の時に貴方様は天を揺るがす英雄となられまする」と告げる表情は真剣そのもの。鎌倉幕府滅亡も分かっていたかのように悲惨な光景を前にしても一切動じず、高時からの命令に従って時行を保護する。しかし、いざという時は潔く死ぬことが武士の美徳とされた時代。生に執着することを拒む時行を「では死になされ」と頼重は敵の群に放り出す。一見、血も涙もない行動に思えるが、頼重は分かっていたのだ。時行は窮地の時にこそ真価を発揮すると。

時行が北条家の生き残りだと分かるや否や、一斉に襲いかかる反乱軍の武士たち。その瞬間、時行の生存本能に火がつく。次々と繰り出される攻撃を見事にかわし、頼重の元に舞い戻ってきた時行が放った言葉は「死んだらどうする」。その字面からは伝わってこない、恍惚とした声色と表情が時行の変態性を物語る。時行は生死を賭けたスリルに興奮と快楽を覚える生存本能の怪物だった。

そんな時行に、頼重は「高氏は殺すことで英雄となり、貴方様は生きることで英雄となる」と告げる。高氏がいずれ殺しに来る時まで、頼重らとともに逃げて再起を図ることになった時行。天下を取り返す鬼ごっこの始まりがスピード感を持って描かれた初回の放送に、視聴者から「作画の本気度が凄まじかった」「死んだらどうするのところの表情と演技良い」「頼重様登場シーン、アップダウンの激しいセリフ全部が頼重様そのもので、中村悠一様〜!!と平伏した」と絶賛の声が上がった。

◆文/苫とり子

アニメ「逃げ上手の若君」第一回より©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会