【漫画】昔、家を出て行った母親とアプリでマッチング?…青年がついた”優しいウソ”に「これは泣く...」「素敵な物語」と反響の声

2024/08/12 18:00 配信

芸能一般 インタビュー コミック

マッチングアプリ「ライコネ」で人々は思わぬ形で結ばれていく…(C)今井大輔/日本文芸社

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、週刊漫画ゴラクで連載された人気作品「ビターコネクト」の中で「素敵な物語」「引き込まれる」など多くの反響を集めた第2話「ウノ⇔アジサイ」をピックアップ。

作者の今井大輔さんが5月25日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて5300以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では今井大輔さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。

アプリでマッチングした相手は…

「ビターコネクト」1巻第2話 より(C)今井大輔/日本文芸社


マッチングアプリ「ライフコネクト」、通称「ライコネ」。このアプリではセフレも不倫も、純愛も友情も、簡単につながることができる。もはやライフラインと化したライコネで人やモノは思わぬ形で結ばれていく…。

バイトを探すためにライコネを利用しているウノ(26)は1時間で1万円稼げるというアジサイ(58)とコネクトした。依頼内容は「1時間話し相手になること」だった。

自分が話すより、聞き役になるほうがリピートされやすいことを知っていたウノは「アジサイさんのお話をして下さい」とお願いする。すると、アジサイはずっと後悔していることを話し始めた。

昔、一人息子を捨ててお金持ちの男性と浮気してしまったらしい。アジサイがライコネを利用した本当の目的はその“捨てた子ども”とマッチングすることだったのだ…。

マッチングアプリによって”ある共通点”を持った2人が出会う姿を描いた本作。読者からは「ポロポロ来ちゃった」「色んな角度から心をギュッとさせられる」「嫌なウソじゃなかった」「切り口が独特で優しい」など多くのコメントが寄せられている。

「“読みやすく”を意識…」作者・今井大輔さんが語る創作秘話

「ビターコネクト」1巻第2話 より(C)今井大輔/日本文芸社


――「ビターコネクト」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

担当編集さんと打ち合わせする中で出てきた案なのですが、連載開始の2年ぐらい前にはこんな話をやろうというのが決まっていたので、きっかけというのは、正直はっきりと覚えてないです。ただ、マッチングアプリで結婚する人などが増えだした頃で、そこに可能性や面白さを感じていたのだと思います。

――特に「ビターコネクト」1巻の第2話「ウノ⇔アジサイ」では、2人の繊細な心の動きが表情からとてもよく伝わってきましたが、本作を描くうえでこだわった点があればお教えください。

細かい話になるのですが、ストーリーがほとんど二人の会話で進んでいくので、ただの会話を飽きさせずに読み切らせるために、表情はもちろん、コマの大きさ、置き方や、吹き出しの位置や、吹き出しに入れる文字数や改行など、工夫を積み重ねています。その全体の構成というのはこだわりのポイントです。

――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

ないです…。割とまんべんなく好きな感じなので…。ただ、妙に印象に残っているのは、第10話のラブホテルで髪を切るシーンです。読み返してみても、特別強い言葉や、印象的な動きがあるわけではないのですが、なぜか印象に残っています。

――今井大輔さんは本作以外にも「ヒル」や「恋と地獄」など様々な作品を描かれていますが、普段作品を創作するうえで意識していることがあればお教えください。

「読みやすく」を意識しています。さらに、読みやすさを追求すると、「読ませる」ことができると思っています。デビュー前に、何かのマンガ入門で見たのですが、「朝起きてから家を出るまでを面白く読ませられたらすごい」みたいなことが書かれていて、なんとなく、そこを到達点に考えています。

何も起きない、ただの日常を、読もうと思ってないのに読ませてしまうくらいの読みやすさ、人の目が、意思に関係なく、そこに文字があれば読んでしまうみたいに、無意識にコマを追ってしまうように、コマの大きさ、吹き出しの配置、文字の数、改行、キャラクターの向き、目線、などなど、実はめちゃめちゃ細かく考えて構成しています。

――今後の展望や目標をお教えください。

目標は常に「圧倒的に売れること」です。1億冊売れたいです。創作活動において、お金の計算をすることは、なんとなく不純なイメージを持たれることがあるのですが、個人的に、出版社や編集さんと仕事したり、お客さんに販売している以上、お金から目を背けることはクソダサいと思っています。

「売れなくてもいい」というのは、自分と関わって、一緒に作ってくれている人達に失礼だと思います。関わってくれた人、端から端までみんなが報われるのは売れることだけなので、作者は描いて終わりじゃなく、少しでも売れるように、誰かが動いてくれているうちは、一緒に最後まで試行錯誤したいです。

――最後に、作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いいたします。

誰のために漫画を描いているかと言われたら、正直、自分のためだと思います。わがままを支えてもらっていると思うので、読者の方々にはとても感謝しています。ありがとうございます。

その中でも、僕の描いた漫画の何かに共感してくれた人達には、密かに同志のような気持ちを持っています。これからもよろしくお願いします。