――高視聴率を記録したドラマで、視聴者、特に生徒たちと同じ小学生はリアルに感じながら見ていたと思います。
そういうふうに見てくれている人も多くて、実際に全国で起きていた現象として、当時、2年生から3年生に進級する子どもたちが春になって“3年4組”になると「やったー!」って喜んだらしいんですよ。でも、新学期が始まってみたら「北野先生じゃなかった」ってガッカリしたって(笑)。
――それくらい影響力が大きかったんだと思います。
「『熱中時代』を見て先生になりました」っていうのもよく言われました。「悪いことしたね」って(笑)。「熱中時代・刑事編」もそうで、「あれを見て警察官になりました」って言われることも多くて、「あぁ、悪いことしたね」って(笑)。僕の同級生で私立の学校の先生になったやつがいて、「水谷みたいな先生になりたくてさぁ」って言われたことがあってびっくりしました。さっき、先生の理想像という話もありましたけど、理想を追うことは素晴らしいと思いますが、実際にはそうはいかないことが多いと思います。「熱中時代」では、理想だけじゃない部分も見せたいなという気持ちもありました。PTAのあり方とか、教育委員会のあり方とかもドラマの中で触れていましたし、教育評論家の遠藤豊吉先生が監修についていただいていたので、理想ばかりにならず、現実的な問題も見せていくという意味ではうまくバランスを取っていただきました。それでも「あんなふうになりたい」と言ってくれたのは素直に嬉しかったです。
――校長先生の家に、北野先生をはじめ、いろんな先生が下宿していて、そこでは学校とは違う先生たちの一面が描かれました。
面白い設定でしたね。“表の顔”と“裏の顔”じゃないですけど、先生たちの普段の生活も見せちゃうというのがいいなぁって。校長先生も夫婦仲が良かったり、時々ケンカしたり、人間味のある部分が垣間見えて面白かったです。
――現在放送されている「熱中時代・先生編」に続いて、「熱中時代2・先生編」の放送が8月3日からスタートします。第1シリーズの最終回は本当に感動的な内容でしたが、それから1年半後、1980年の7月から第2シリーズが始まりました。前作は“北野広大”が教師になって、生徒たちと一緒に成長していくという物語でしたが、第2シリーズは駆け出しの先生ではなく、いろんな経験を積んだ“北野広大先生”だったと思います。どのように演じようと思われていましたか?
第2シリーズは難しかったです。最初と同じでは成長していない感じになってしまいますし、じゃあどれくらい成長したのか?という加減ですよね。そこが制作側の課題でもあったと思います。しかも、担当するクラスが3年生から2年生になるわけです。
――3年生だった生徒たちの担任を再びやるのであれば、生徒たちそれぞれの成長を描けますが、実際は新たな生徒たちと向き合うことになります。
小学生は学年が一つ違うだけでも全然違いますからね。タケノコは土から出てきたばかりだと白い部分が多い。2年生ってまだそういう白い部分が多い学年だと思います。そんな難しい2年生に対して、北野広大がどのように接して、白い子どもたちにどんな色をつけていくのか…そんなシリーズでした。
――第1シリーズも第2シリーズも、子どもたちが作文を読むシーンがあったと思いますが、あれは実際に生徒役の子たちが書いていたのですか?
そうですね。結構アドリブと言いますか、生徒役の子たちが実際に書いているケースが多かったです。生徒役の子たちの役名も本名でした。なので、子どもたちが自然な感じで演技ができていたと思いますし、ドラマと現実がごちゃ混ぜになって、僕のことを“先生”という目で見てくれていました(笑)。
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