AIや電化製品によるさまざまな恩恵を受ける現代、「プログラミング」に対する関心は大きく高まっている。2017年から2021年にかけて小学校、中学校、高校で順次「プログラミング教育」が開始していったことを考えれば、未来には「プログラミング」はもっと身近なものになりそうだ。そんなプログラミングにフィーチャーした番組が、乃木坂46のメンバー吉田綾乃クリスティー、弓木奈於、林瑠奈が出演する「東京パソコンクラブ~プログラミング女子のゼロからゲーム作り~」(毎週金曜深夜0:00-0:30、BSテレ東)。同番組が生み出したゲーム「デンパトウ」をプレイしつつ、その価値を掘り下げていく。
「東京パソコンクラブ~プログラミング女子のゼロからゲーム作り~」は乃木坂46の吉田綾乃クリスティー、弓木奈於、林瑠奈がゼロからゲームプログラミングを学び、一人前の女性プログラマーになるまでを描くプログラミングドキュメンタリー番組だ。
プログラミングのとっかかりとして理解しやすい“ゲームプログラミング”を学んでいた3人は、番組のなかでリバーシやアクションゲームといったゲームを制作して遊ぶまでに至っている。
そんななか、2024年5月には番組の講師役・トロヤマイバッテリーズフライド(トロヤ氏)が制作したオリジナルゲーム「デンパトウ」が完成。番組のオリジナルゲームをSteamでリリースしたことが、各所で話題をさらった。
5月17日に完成・発売した「デンパトウ」は、農場シミュレーションアドベンチャーゲームというジャンルのゲームだ。知らない場所で目を覚ました記憶喪失の主人公は、保護してくれていたアンテナ農場のオーナーである“しゃべるテレビ”とともに“アンテナ”を栽培して出荷する…という不思議な世界観の作品となっている。
いったいどんな作品に仕上がっているのか、実際にゲームを触ってみることに。
ゲームは主人公が農場で目を覚ますところからはじまり、まずは農場のオーナーである“しゃべるテレビ”と出会う。記憶を失った主人公は、彼の手伝いをしながら記憶が戻ることを待つ…という流れだ。
オーナーであるテレビは非常に能天気かつ世話好きで、「ケセラセラ」という言葉をよく使う。フランス語で「なるようになる」といった意味で、彼(?)の楽天的な性格をよく表している。農場で“アンテナ”を栽培しているテレビは、アルミニウムを使ってさまざまな道具の作成も担当。主人公はそうして作った道具を駆使して、テレビが用意してくれるアンテナの苗を育てていく。
苗を育てるために必要なのが「デンパ」で、主人公は「パラボラ」という道具を使って空中にただようデンパを集めることになる。広い農場を歩き回り、デンパのたまり場を見つけてパラボラを向けて収集。リュックにデンパを溜め、それをテレビに頼んで農場へ放出する。そうすることでアンテナが育っていき、1日の獲得デンパ量によって報酬がもらえるほか、完全に成長したアンテナを出荷しても報酬を受け取ることができる。デンパを集め、アンテナを収穫した報酬を元手に、新たなアンテナの苗を植え…というサイクルで遊べるわけだ。
単純な作業ながら、目には見えないデンパたまり場を見つけるにはコツが必要。電池容量によって稼働限界が決まっているパラボラを頼りするため、効率を求めると意外に奥深いゲームになっている。実際、筆者も手慣れていくにしたがってデンパの回収量も増えていった。ゲーム性がシンプルなだけに、繰り返し繰り返し「こうした方が効率的だな」という創意工夫の余地を発見できるのも楽しい。
また報酬を使ってパラボラを強化することもできるほか、アンテナの苗にも種類がある。単純なだけで終わらず、やり込み要素もしっかりある味わい深い“レトロゲー”っぽさもグッドだ。
ちなみにアンテナを出荷するとテレビが番組を受信し、その日の終わりにテレビ番組を見せてくれる。基本的にランダムだが、なかには「TVチャンピオン」などの人気番組を彷彿とさせるやり取りなど懐かしいテレビ番組ネタも。そのものずばりではないものの思わずニヤっとさせられる塩梅もいい。
だがなんといっても、同作の魅力はレトロな世界観に尽きる。軽快なテンポながら優しい、記憶喪失の主人公としゃべるテレビのトーク。ブラウン管のような画面演出と、8bitで奏でられる電子音楽。柔らかい色彩と、想像の余地を残した描画。そのどれもが「デンパトウ」の優しく懐かしい、そしてどこか寂しさも感じる世界観を表している。
30日の農場生活を終えると、バッド、ノーマル、トゥルーのいずれかのエンディングを迎える。経過した日数ごとにセーブデータが自動で保存されるため、周回プレイも容易な設計だ。やり込むためのストレスを小さくしているのは、現代っ子らしい発想と言えそうだ。
Steamストアでも好評の声が多い同ゲーム。ゲームのレビューコメントにも、「何回もやり込んで遊べる」「ゆるふわシミュレーションかと思いきや、驚かされ、にやりとさせられ、最後は泣きそうになりました」「小ネタが多く、開発者の遊び心が感じられるギミックが好き」といった声が多く寄せられていた。
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