このときがもしかしたら水季が亡くなってから初めての涙だったかもしれない。
第3話のサブタイトルは「たいせつな人を失うということ」。この前に描かれたエピソードで、弥生につらい言葉を投げかけた朱音。海を連れて来たこの日に、「大人だってまだダメでしょ。思い出すと気持ちがぐちゃぐちゃするでしょ」と明かして謝罪していた。そう、大人でさえ大切な人を失うとき、すぐに心の整理がつくものではないのだ。
自分の知らないところで海が生まれていて、子どもの扱いが得意ではなさそうで、言葉にするのが苦手な夏らしく、大人に対するような言い回しだったかもしれないが、夏の言葉は海の心に届いた。
その後の学校で、海は担任教師から「今日は元気ないね」と聞かれて、「うん、でも大丈夫。いま、ママのこと考える時間。元気ないけど大丈夫」と答えた。これからのために、その時間も大切なのだ。
また夏自身も、第2話ラストで抱きつかれたときには戸惑うばかりだったのが、今回はおそるおそる海の背中に手を回し、ギュッと抱きしめて一緒に涙を流していた。
ラストでは、「夏君、パパやらなくていいよ。でも、いなくならないで」と願った海。夏も海も「パパをやる」ということが何なのか、分からない状態だ。ただ、いまは、そばにいたいと思い、いなくならないでほしいと願う。そんな関係を築き始めたばかりの2人を、我々も見守っていきたい。
今回も反響は大きく、Xで日本のみならず世界トレンド1位に。「悲しいもんは悲しいって吐き出さないとと言ったのは、パパのはじまりだよね」「ママのことを考える時間、それでいいんだよね」「後半ずっと泣いてた」「みんな幸せになってほしい」といった声が寄せられていた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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