アメリカン・脆(ツォエイ)・グミ/連載:小林私「私事ですが、」

2024/07/20 20:00 配信

音楽 コラム 連載

アメリカン・脆(ツォエイ)・グミ/連載:小林私「私事ですが、」※本人制作画像

美大在学中から音楽活動をスタートしたシンガーソングライター・小林私が、彼自身の日常やアート・本のことから短編小説など、さまざまな「私事」をつづります。今回は、「食事」について綴ったエッセイです。
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最近はKevin's English Roomに再熱していて、アメリカの食事を見ていたら一日が終わる。久しぶりに見ていると、俺はアメリカの食生活にかなり向いている気がしてきて、ベーグルを買ってみたりスーパーで見かけたナチョチーズを食べたりした。一食がスナックでも全然構わんなと思いながら、カナダにホームステイしていた頃を思い出した。

カナダは移民の国というのもあり、飯に関しては特に快適だった。二週間しかいなかったから気にならなかったのかもしれないが、苦手だったのは弁当がリンゴ丸かじりなことと、時々朝飯に出る真っ白のクリーム(チーズとヨーグルトの中間のような液体で、これがめちゃくちゃマズい上に大量に出されていた)くらいなものだ。

ホストファミリーの家がヴィクトリアにあり、バスで港に行けたので飯が自由のときはずっとフィッシュ&チップスを食べていた。懐かしくなって調べたらBARB’S(バーブス)という店で、ヴィクトリアで一番とまで言われている店だったらしい。そら美味いわな。

余談だが、会計後に名前を伝えて出来上がったら呼んでもらうシステムで、「RYOTA(リョウタ)」と何度言ってもRが抜けて「YOTA(ヨータ)」と呼ばれてしまうので、数度目からはヨータとして生きていた。英語に詳しくないので分からんが、カナダ特有の発音だったのだろうか。結局カナダでリョウタとは一度も呼ばれなかった気がする。

アメリカの話に戻ると、新居の近くにステーキ屋があることに気付き、物は試しと行ってみた。Kevin's English Roomを見ていても、「鍋に弾丸を受けながら」を読んでいても、やはり肉食文化が盛んな国では日本のステーキとノリが違う。
霜降り和牛のような高級で脂っこいものより、たくさん食べることを前提とした文化、だそうだ。その店はかなり俺が抱くアメリカのステーキっぽい雰囲気だった。

それで、食べてから気付いたことだが、俺って全然ステーキ好きじゃなかった。いや、普通に美味しかったし、また行ってもいいと思っているのだが、ハンバーグかフライドチキンが食べたい。いっぱい噛まなきゃいけない飯って面倒くさい。俺は食事において食感と喉越しを主に楽しんでいるし、なんなら食後に飲む水で全部洗い流す方がメインと言ってもいい。

チュロスと春巻きが好きな理由もほぼ食感だ。春巻きに関しては揚げたてよりも総菜の少ししなびたものがいい。美味しいジップロック食ってるみたいで美味い。もんじゃは喉越しで食っている。焦げたところの食感も好きだが、小さい熱を飲み込むのが面白いから食っている。そもそも、もんじゃの味が好きな人間などいない。

「鉄鍋のジャン」にて食感の話が出てくる。その中で惹かれるのは脆(ツォエイ)という食感。口に入れた時、パリッサクッと砕けてもろくはかなく溶けていく...というものだ。
他にもモチ米のような糯(ヌオ)、トロミのあるなめらかな滑(ホウ)とある
つまり、理論上はポイフルが最高の食感ということになる。

まあ正しいか、グミって美味いし。俺って結構グミ好きなんだけど、グミ好きって動物好きと同じくらい言ったときに安っぽいというか、グミが主食ですみたいなタレントって家では全裸ですと同じくらい信憑性がない。
「限界OL霧切ギリコ」14話ではギリ子さんが延々とグミの話をしていて、それ読んでから更にグミ熱が上がってきた感じがある。元々タフグミとか忍者飯みたいな酸っぱくなくて硬いのが好きなんだけど、最近良かったのはちびサワーズグミ。一気に何粒も口に入れて食うとでっかい米食ってるみたいで面白い。

何の話してたっけ

グミしか出さないカスの海上レストラン、ゼラティエ

あざした

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