ベネディクト・カンバーバッチが48歳に…“アベンジャーズ最強の魔術師”や“世界一有名な探偵”を快演の名優の軌跡

2024/07/19 06:30 配信

映画 コラム

ベネディクト・カンバーバッチ※2023年ザテレビジョン撮影

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の人気キャラクター、ドクター・ストレンジ役をはじめ、「SHERLOCK(シャーロック)」のシャーロック・ホームズ役など、多くの名作で印象に残る役を演じている俳優ベネディクト・カンバーバッチが、7月19日に48歳の誕生日を迎えた。そこで、これまでのキャリアにおける活躍と軌跡を振り返る。

両親が俳優というサラブレッド


1976年7月19日、イギリス・ロンドンのハマースミスで生まれた。父親のティモシー・カールトンと母親のワンダ・ヴェンサムは共に俳優で「SHERLOCK」にカメオ出演し共演している。マンチェスター大学、ロンドン音楽芸術学院で演劇をじっくりと学ぶ。舞台などの経験を積み、ドラマや映画にも出演して活動のフィールドを広げていった。

彼の活躍を語る上で欠かせないのは、2010年からスタートしたBBCのテレビドラマシリーズ「SHERLOCK」。アーサー・コナン・ドイルの小説「シャーロック・ホームズ」シリーズは推理小説の金字塔的作品。それを21世紀のイギリスに舞台を置き換えて、アップデートさせた名探偵シャーロック・ホームズを演じ、彼の名と存在を広く知らしめることとなった。シルクハットをかぶり、パイプをく揺らせるという感じではなく、類稀な推理力があることは変わりないが、スマートフォンやGPSなどの最新ITツールを駆使して難事件を解決していく。“社会不適合者”ともいえるほど個性が強く、相棒のワトソンを振り回しながら独自の道をゆくタイプ。偏屈だけどクセになるというか、その偏屈具合が気になってハマっていってしまう。

「SHERLOCK」での好演がきっかけで、スティーヴン・スピルバーグが当時まだハリウッドでは知名度が低かったカンバーバッチを映画「戦火の馬」(2011年)に起用。ここでもその高い演技力を発揮し、さらに活躍の場を広げることに成功した。スパイ小説で知られるジョン・ル・カレの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」が原作の「裏切りのサーカス」にも出演し、ゲイリー・オールドマンやコリン・ファースらと共演。トールキンの小説を映像化した「ホビット」シリーズ(「ホビット 思いがけない冒険」「ホビット 竜に奪われた王国」「ホビット 決戦のゆくえ」)は、「SHERLOCK」で相棒ワトソンを演じたマーティン・フリーマンが主演を務めているが、面白い形で共演を果たしている。カンバーバッチはこのシリーズで、邪竜スマウグ役で、声だけでなくモーションキャプチャーも担当。姿は見えなくても、その低音ボイスでしっかりと存在感を示している。

ベネディクト・カンバーバッチ※2023年ザテレビジョン撮影

代表作の一つ「ドクター・ストレンジ」でMCU屈指の魔術師に


シャーロック・ホームズと同じくらい、カンバーバッチにとって重要な役となったのが、“ドクター・ストレンジ”。天才外科医のスティーヴン・ストレンジは、交通事故に遭い、外科医として致命的な怪我を両手に負ってしまう。“神の手”を失うという絶望を経て、カトマンズで神秘的な力を操る指導者エンシェント・ワンに出会い、弟子入り。修行を経て生まれ変わって魔術師となり、世界を滅亡から救うため“闇の魔術”との戦いに巻き込まれていく。元々持っていた特別な能力ではなく、自分自身の努力で手に入れた力を持っている。それが「アベンジャーズ最強の魔術師」とも呼ばれるドクター・ストレンジの大きな魅力となっている。

2016年公開の「ドクター・ストレンジ」、2022年の「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の他に、「マイティ・ソー バトルロイヤル」(2017年)、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)、さらには「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021年)といったMCU作品にドクター・ストレンジ役で出演。それもあり、カンバーバッチ=ドクター・ストレンジとセットで覚える日本ファンも多く、2023年に開催された「東京コミコン 2023」に初参加した際は、多くの日本人ファンとの交流を楽しんだ。

また、シリーズに連続で出演したわけではないが、J・J・エイブラムス監督による映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年)もカンバーバッチにとって大きな意味をなす作品に。歴史の長い「スター・トレック」シリーズを、エイブラムス監督が完全リニューアルし、新しい「スター・トレック」になった第2弾作品で、カンバーバッチは大量殺戮兵器と化し、世界滅亡を企む謎の男ジョン・ハリソンを演じた。肉体改造に取り組んで臨んだ本作で、その悪役ぶりが高い評価を得て、演技の幅を広げることとなった。