1989年にプロデビュー。最高世界ランキング4位、日本の女子選手で初めてグランドスラムのベスト4進出を果たすなど、長年女子テニス界を牽引してきた伊達公子選手が引退を発表。テニスの“聖地”、東京・有明コロシアムで会見を行なった。
「昨年4月にひざの手術をうけて、今年5月に復帰戦を行なったときには、万全ではなかったけど気持ちは衰えてなかったんです。でも、全米オープンの前哨戦でアメリカ遠征をまわったときに、肩も問題を抱えるようになってしまって。そのアメリカでの3週間の戦いを自分の中で整理して、『決めるとき』がきたのかな、ということを思いました」
現役最後の舞台に選んだのは、9月11日(月)から東京・有明テニスの森で行なわれる「ジャパンウイメンズオープンテニス」。女子テニスWTA公式戦で、大坂なおみら、世界で戦う女子選手たちがそろって参加する。
「自分の思いを考えると、最後に戦う場所は東京で、と思いました。(1996年に)ファーストキャリアを引退したときは、アメリカだった。ファンの方のためにも、今度は日本で、という思いがあります」
グランドスラムで3度ベスト4に入るなど、世界のトップレベルで戦った1996年までのファーストキャリア、その後、2008年に37歳で復帰してからのセカンドキャリア、思い出の試合は数多いという。
「ファーストキャリアでは、この有明のフェドカップで当時世界最強だった(シュテフィ・)グラフと長時間戦って勝った試合や、ウィンブルドンのセミファイナルで日没サスペンデッドで2日間に渡って戦った試合など、記憶に残っています。でも、復帰後の試合も、ひとつひとつチャレンジの連続で思い出深いですね。復帰直後は日本選手権を目標にしていたけど、だんだんランキングがついてきて、グランドスラム予選にまでチャレンジできるようになって。(2011年には)ウィンブルドンでビーナス・ウイリアムズと戦って、勝負には負けたけど、今の女子のパワーテニス・スピードテニスに、展開の速さなどで対抗できるのを見せられました。私とあまり年齢が変わらないような他の選手のコーチたちが、すばらしい試合だった!と声をかけてくれて、いい思い出ですね」
テニス選手としては異例の46歳まで、戦いを続けてきたのは、彼女のテニスへの熱い思い。
「テニスが好きで、スポーツが好き。(復帰後)9年半続けてこられたのはそれに尽きますね。若いころと違って結果だけを追い求めるのではなかった。それに気付けたのは再チャレンジのときです。日々が楽しかった。ファーストキャリアで本当のトップレベルを経験し、復帰後は30代後半から40代でトップ50の中で戦えた。こんなに幸せなアスリートはいないんじゃないかと思います」
だからこそ「本当はもっと続けたい」とも言う。そんな思いも、すべて「ジャパンウイメンズオープンテニス」に懸ける。
「この状態なので、本当の自分の思うプレーがどれだけできるのかは、ふたを開けてみないと分かりません。あとは、アドレナリンがでて、痛みを忘れられるかどうか(笑)…。みなさんの記憶にとどめてもらえるよう、最後の試合ではみなさんと時間を共有したいと思います」
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